2016年3月23日水曜日

【NSK】KARATEレビュー

日本のアイドル業界とその国際的なファンベースについて取り上げる「New School Kaidan」によるレビュー。

BABYMETAL「KARATE」トラックレビュー

Dae Lee著

BABYMETALについて話そうじゃないか。一時的なスピンオフアイドルユニットが国際的に賞賛を受けるメタルスターに転じた。3人の固定メンバーのユニット(SU-METAL、YUI-METAL、MOA-METAL)がバックバンドを伴うBABYMETALは、快活なポップスとスラッシーなメタルギターの対照的なミックスによってメタルというジャンルに新たな命を注入し、過去数年にわたり注目を集め、打ち負かしてきている。来たるアルバムリリースから先行して「KARATE」というミュージックビデオを公式YouTubeチャンネルへ解き放った。

そのオープニングのギターリフは不吉で高圧的、そしてよりヘヴィーに変異し、オルタナティブ/プログレッシブメタルのサウンドが2000年代初期へと私をテレポートさせる。
そのオープングのギターリフは威張りちらしており、アティチュード重視の時代をしのばせる大胆な高圧感と敵意を発揮する。低音域にジェントが注入されており、スタッカートの特徴がBABYMETALが多く使ってきたスラッシュ度の強い伝統的なメタルと異なるフィーリングを曲に与えている。

ゆっくりとしたビルドアップが予感をもたらし、テンションと音楽的な強度を増していくと、ギターが炸裂し、アップリフティングで猛烈なサビへと曲が転換する。SU-METALのボーカルはいつものように力強く自信に満ちており、YUIとMOAによるバッキングボーカルが曲を通して一定に繰り返し散りばめられている。その事はこの曲を愛する要素となるか、もしくはBABYMETALの曲に慣れなければない要素にもなる。私はライブで合唱的な間奏を共に歌っている何千ものファンを既に想像できている。

BABYMETALによるシングルが不在となっている間、ポップスとエクストリームなジャンルを融合させるという近いテーマを持つ「BABYMETAL的」なアイドルグループが増大した。: しかし「KARATE」はそういったグループが勝負するに臆するレベルのスタイルとプロダクションをもたらした。楽器法は洗練され敷き詰められ、ミキシングは完璧で磨きこまれている。より複雑または印象的なギターもあるかもしれないが、純粋な熟した技量と有効性が全てを束ねておりBABYMETALを他と差別化しているのだ。

この曲のブリッジは夢のようだ。深くかけられたリバーブ、柔らかなピアノのコードとエコーするシンセのアクセントはブリッジとエンディングで響く。それはより統合された楽曲だ: 音調が一貫せず対比質だった「Doki Doki Morning」といった曲のようではない。

全体的な音像は「Road to Resistance」に続くものだが、より明るく幻想的な音になっている。さくら学院からの単なる一時的なアイドルスピンオフから現代のヘヴィーメタルシーンに大いに受け入られたグループへと変わり、より幅広いオーディエンスにBABYMETALが応える様が聴こえてくる。その認識において、BABYMETALは更なる責任感を果たしている事となる。

ファーストアルバムにあって、この新曲達でまだ聴けていないのは、吐き気がするほど快活なアイドルポップの注入であり、それは彼女たちの独自のサウンドのはじまりにおいて大きな役割を果たしていたものだ。「Gimme Chocolate」は子供っぽい、または陳腐な歌詞であったと同時にファンタスティックで、巨大なコントラストとダイナミックなサウンドを備えたポップかつヘヴィーなトラックであった — そのアルバムの中で私のお気に入りの一つだ。

両手を広げてメタルコミュニティがBABYMETALを受け入れた今、マネージメントが期待に応えるためのプレッシャーを感じている事は理解できる。前アルバム以降に唯一制作された曲「Road to Resistance」は疑う余地のないメタルトラックであり、メタルにあわせて誇りをもって頭を振る者達を集結させるアンセムであった。そして「KARATE」も同じく集結させる楽曲で、さらにストレートなメタル曲の度合いを増している。

要約すると、「Ii Ne」のようにもっとポップでダンス寄りのアイドルソングにメタルの音を装飾していた時からは大きく離れ、単なるスピンオフではない「立派な」メタルアーティストへなる事に関心をもっている為、より本物の音を追求していく事は自然な進化であると多くの者が予見できただろう。

そのコントラストがなければBABYMETALの曲に過去そなえていた色を失う事になるかは議論の余地がある; だがメタルのジャンルの中に存在する異なる音による実験を、まだまだ楽しんでいるように私には聞こえるし、そこには探求する余地が十分に残されている。数週後に発売されるニューアルバムを私たちはまだ聴いていないが、このグループの成功の鍵となった砂糖と地獄の炎という二元的性質、中毒性と遊び心のコンビネーション、そのバランスをこれからも取り続けていけると証明されている事を何より期待している。

ソース: NSK

5 件のコメント:

  1. 「Road to Resistance」は「Road of Resistance」なのでは?

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    1. こちら原文のままです。海外メディアは曲名の間違い多いですね。

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  2. 仕方のないことと言いつつ、
    POPでナンセンスでそれゆえに破壊的な初期曲を懐かしむ、
    って国内古参か!ツッコミいれたくなる。

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  3. ほんとに、国内の冷静な古参かって言いたくなる論評ですね笑
    実際肝心の3人は、メタルの知識は結構ついてきたとはいえ、聴いている音楽はpopだったりすると思うんですよね。最愛ちゃんがアイドルソング聴かなくなるとは思えないし、由結ちゃんはアリアナがまだ好きだろうし。すぅさんも然り。
    そういった下地がある限り、アイドルPOPに思い切り振り切ろうと思えば全然出来るんだから、今はこの実験を楽しんだ方がよっぽとポジティブで楽しいと思う。

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  4. 翻訳ありがとうございます!
    バックボーンとその周辺をどこまで知っているのか分かりませんが「差別化」を明確に謳ってくれているので安心できます(もとより心配していませんが)。
    KARATEは総じて好意的ですね。理由はいろいろあるようですが、単純にあのようなリフに抗するのは体に悪いと思うのです笑。未だ頑張っている積極的憎悪者の方々が気の毒ですら。

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