※ 翻訳記事ではありません。
BABYMETALによって初めてメタルシーンに触れる事となった方々にとって、おそらくはカルチャーショックだったに違いないメタルエリート主義・メタル原理主義の背景について、少し述べてみたい。
メタルは80年代から繁栄を極めはじめた一大ムーブメントだった。
煌びやかな衣装とメイクを纏いパーティーの楽しさを高らかに謳い上げるバンド、死や悪魔についておどろおどろしく歌い上げるカルトバンド、恋人との別れを歌いメガヒットをとばすバンド。多様性を極めるシーンが形成された。まさに音楽業界の中心がメタルだった。
その一方、商業音楽への反抗心をもった若いミュージシャンが、速さと激しさに特化し、より現実的なメッセージを取り上げるバンドを産み出す。パンクやハードコアの影響を著しく受けたメタル — スラッシュメタルの誕生だ。
そのアンダーグラウンドシーンは瞬く間に巨大化し、煌びやかで派手だったメタルをそのパンチ力で葬り去ると、レザージャケットで身を包んだバンド達が一躍シーンの中心へと躍り出る。
パンク、ハードコアのアティチュード、そしてアンチ商業主義がもたらすものとは。
「あのバンドより俺たちの方が激しい」「あれは偽物だ」「俺たちの方がもっと速い」「あいつらはセルアウトしてる」「メタルでキーボードを使うなんてオカマだ」
「あんなのはメタルじゃねえ!」
メディアを通したバンド同士による口論合戦が起こる。
そしてスラッシュメタル四天王の一つであるMetallicaが初めてのミュージックビデオを制作した時には、その攻撃はついにバンド自身にも帰ってくる事となる。
「お前らMTV狙うなんて売れ線になりやがったな。メタルじゃない。」
7分半弱という尺の商業主義とは無縁の作品であったにも関わらず。
メタル原理主義の誕生である。
バンドやシーンの意思を過剰に汲み取る一部ファンによる暴走。
彼らは更に深く掘り下げ始め、提供される素材では満足を得られず、そのジャンルのあり方を細かく定義し、声高に叫ぶ。憎々しいバンド、かつて愛したバンド、レーベル、プロデューサー、そして同族であるファン…自身の半径外の存在全ての排斥へと向かう。インターネットの加護を一身に受け、「昔は良かった」と一人呟きながら。
だが彼らの捧げる情熱は無尽蔵でもあり、認めたものに全てを捧げ、身を粉にしてその素晴らしさを説く宣教者にも姿を変える。シーンを底支えしているのが彼らである事もまた否定できない。それが故、あくまでも声高な少数派であるにも関わらず、彼らの意に沿う活動へと流れが向かいはじめていく。
そして更に先鋭化し、深化へ向かい、新たなファン層の獲得から着実に離れていく。
そして作品は拡大再生産の一途を辿り、新鮮さや多様性が失われていく。
シーン全体がゆるやかな死へと歩みを進めていく。
これがメタルに限った事ではないのは明らかだ。AKB48台頭以降の日本のアイドルシーンの変遷をみても、今まさにその岐路にある事は間違いなく、熱意あるファンが集うエンターテイメントにおいてはどこでも起こりうる。
そう。そして特定のバンドやグループのファン層という小さな限定された世界でも起こりうる。
多様性を受け入れて楽しもうじゃないか。そこにまつわる全てを。
スノッブ効果に取り憑かれた者の成れの果て、という感じですかねえ…
返信削除もはやアイデンティティーの一部と化して後戻り出来ないのでしょうね
ただ、そういった視点で考えるとAKB48はバンドワゴン効果であり正反対なはずなのですが、多様性の縮小という同様の結末に収斂していくのは興味深くもあります
過ぎたるは及ばざるが如し、ということなんでしょうかね結局は
歌やダンスが本格的だったらアイドルではない。握手会をしなければアイドルではない。カッコよさを強調したらアイドルではない。そんな誰が決めたか分からない変な基準によってアイドルの幅を狭め、アイドルシーンを死に追いやろうとしているアイドルエリートがたくさんいますね。
返信削除自分も、本文を読みながらそことダブりました(^^;
削除そしてこれはまた音楽の話に限った事でもありません。
返信削除共同体の生成は他者との差異を認識するところから始まります。然るに帰属意識は即座に排他主義を生む結果になるでしょう。(中略/笑)
つまるところ賛同も反対もその主義の根本は同じなのです。
諸刃の剣を理解するのは時に辛い。それでも己と闘いながらそれを乗り越えたいです。
一つになると同時に一人になる事。自分にとってのThe Oneの未来は、そこにあります。
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返信削除頑迷で保守的なメタルファンがいるのは別に構わないと思う。
返信削除というか、一定量はいてもらわないと困る。
皆が皆、「BABYMETALっていいよね」などと言い出したら、
それはそれで悪夢だよ。
多様性を受け入れるってことは、
価値相対主義の罠に陥るリスクも同時に負う。
行き過ぎれば、そこにだって緩慢な死が待っている。
だから、原理主義者というのメディアが創り上げたモンスターでもあるのです。
返信削除興味本位で記事にして煽りまくったうえでそれに乗った人々のことを
今度はメディアがコントロール出来なくなった現象だとも言えます。
ある意味ではマッチポンプな訳で根源を辿っていくとメディアの責任は重いです。
ある意味では、他の社会でもメディアは同様のことをしてるのですが、
穏やかにそのコミュニティーを育んでいる人に外敵を提示し、
破壊され侵略される恐怖を植え付け、先鋭化させた上で煽動と
分断化を促し、常に注目と緊張を強いることで情報を売ってきたのですから。
宗教で言うイスラム原理主義に通じるというかこの言葉から取ったんでしょうか?他の宗教はもちろん同じ宗派でも折り合えない唯我独尊の考え方。
返信削除もはやメタル原理主義者にとってメタルは音楽ではなく宗教、だから自分の原理に合わないものは排斥する。分かりやすい理屈。
ただしベビメタは音楽活動をしているのであって布教しているわけではないことを原理主義者には理解してもらいたい。KOBAMETALも「様式美というメタルマナーを大切にしつつ、・・・」(CD&DLでーた)と言っているのでメタルフィールドを踏み荒らしてるわけでもない。彼自身メタラーなので、プロモーションも最低限のことしかしていないのは商業主義べったりに抵抗があるんでしょう。
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削除物販どうこうはkobametalと無関係ではないでしょうか。
削除個人プロダクションのレベルではなく大手アミューズなんですからプロデュース部門はプロデュース部門、物販部門は物販部門で独立していると思います。
「こんなグッズどう?」ぐらいの提案はしていると思いますが、物販問題が改善されないことまでkobametalに責任転嫁するのは言い過ぎでしょう。
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削除キリスト教にもばりばりの原理主義ありますよ。聖書の一字一句は絶対で誤りはないってな。この一派にとってダーウィン進化論はもちろん否定されています。
返信削除政治に影響を与えている各種原理主義と違って、メタルや現代日本アイドル原理主義は戦争起こしてないからまだまだましでしょw
物販と反商業主義はあんまり関係ないですよ
返信削除反商業主義のバンドでもTシャツなどのグッズは売ります
儲けてはいけないということではありません
「儲けるために音楽性を犠牲にした」というのが批判の仕方です
がこれが先鋭化するとなんにでもケチがつけられて自家中毒が起こるんです
この自家中毒を回避するために穏健化した反商業主義というのもあるんです
日本語で歌う以上、俯瞰で見れば「永遠のマイノリティー」で、モンゴルやチャイナのメタルと一緒にして「グローバルなメタルムーブメントだ」と書いているWSJ(だったはず)のような俯瞰はあちらの方々のヴィジョン(権益)ってことでいいんじゃないですかね。めんどくさいんでw
返信削除ていうかそんな議論ラウパの頃には国内でさんざやってたし
返信削除http://heavens-fox.blog.jp/archives/26254435.html
メタル原理主義って今までジョークだと思ってたけど・・・
返信削除マジだったのね・・・
ただのアイドルDEATH!って売りだしても最終的にこれはメタルだ!って周りが騒ぎだしたかもしれないですね。
返信削除アンチ商業主義の結果メタル雑誌は先細って行ったがBABYMETALを表紙に起用したメタルハマーはバカ売れで、今回のアルバム発売に相乗りした各紙が挙って特集を組む・・・これで各紙バカ売れならBABYMETALは完全にシーンを牽引することになる。なんか大変な試練というか十字架を背負わせてしまっているような気がしてきたよ・・・ゆいちゃん
自分がB!誌を見ていた90年代初頭にはスラッシュメタルについて
返信削除「音の暴力であり音楽ではない」というパワーメタル勢のレビュアーも見られましたけどね。
そうやって当初は否定されていたスラッシュ勢・デスメタル勢が
今になってメタルエリートとして保守化して、ほかのジャンルを否定する。
虐待の連鎖のような悪い流れが発生している気がします。
(一度メタルが滅びかけたときにパンテラ以外のバンドがだらしなかったため、
結果的にスラッシュ勢が本流になったという経緯があるので
彼らが保守化するのはすこし理解できますが…)
しかし、ベビーメタルファンも「KARATE」について
「思っていたベビメタと違う」とかいう、メタルコア化にとまどい
否定するコメントが見られるようになりました。
根源的な部分ではメタルエリートと同じなのかもしれないと思います。
ジャンルについて、バンドの方向性について
自分の思うようになっていないことに不満を述べている。
不毛ですね。自分で1から作ったものではないのに。