2016年3月23日水曜日

【MetalWani】メタルレジスタンスレビュー

正直、原文があまり上手に書かれていないため、相当読みにくいと思いますが、ご容赦ください。

レビュー : BABYMETAL - メタルレジスタンス

Jack Toresen著
8/10

もし君が洞穴でこの数年間過ごしていたのでなければ、ある時点においてBABYMETALと遭遇していたはずだ。日本から発生したおびただしいインターネットセンセーションは、君が好むかどうかに関わらず、極一部のアーティストのみが得られる注目でヘヴィーメタルの世界を席巻した。十代日本人の女の子3名のリードボーカルと伝統的なメタルバックバンドからなるグループはポジティブな興味と極度にネガティブな批判の両方をハードエッジミュージックの世界に所属する人々の間で誘発した。2014年2月にセルフタイトルアルバムBABYMETALがリリースされ、BABYMETALのきっかけとなったシングル「Gimme Chocolate」が後押しした。それから2年後の今、そのグループは2度目となる賜物メタルレジスタンスを伴って帰ってきた。

オープニング(そしてタイトル)トラックである「Metal Resistance」によって最初に明らかとなる事とは、もし君が壮大なツインギターメロディとDragonforceに非常に影響を受けたリズムが好きなら、J-POPスタイルのボーカルが幾分興ざめさせるにしても気にいるに違いないという事だ。このトラックはこのグループの3名のスターであるボーカリストSU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALによる持続的な非語彙のボーカル(訳注: Woh woh wohパート)に寄ったトラックとみられる。それでもやはり聴くに心地よくアルバムを始めるエキサイティングな形だ。「KARATE」が次に続く。一部インダストリアル一部スラッシュながら極度に良くプロデュースされたギタートーンを伴っている事は、控えめに表現しても魅力的なサプライズだ。ボーカルのメロディという意味においては3名のリードシンガーは先の楽曲とは異なるアプローチをとる。この極で聴かれるボーカルのリズムは、Zach de la Rocha*1がRage Against the Machine*2で反復した事にほど近いレベルに達している。今のBABYMETALサウンドにこういった要素が入ってきている事は興味深い。

ポップ的なテクノノイズがハードロックとミックスされている事が3番目のトラック「Yava!」の肝であり、ここまでの曲より「ヘヴィー」ではない事は明らかだ。確かにこういったレコードにおいては、Deeds of Flesh*3の大ファンではなく、平均的なリスナーに受け入れられる音楽性を取り入れる事は重要だが、曲が実際に炸裂するまでの間に無垢な心地よさが用意されていて、それがいつ炸裂するかに気づいてしまえる事は非常にがっかりとさせる。ドラムも特にまた注目に価するもので、前田遊野と青山英樹2人の賞賛すべき仕事を示している。この後の「GJ!」はデスコアバンドの典型的なドラムセクションと、リードシンガー達による魅惑的なボーカルではじまる。この曲はバックバンド全体が特別に讃えられるべきだ。信じられない程才能に満ちたミュージシャンシップが曲を通して輝きつづける。 彼らの努力に称賛が得られる事がほとんどないとしても、才能に疑問の余地はない。

「Amore」では、アルバムのタイトルトラックを支配していた猛烈なギターウィザードスタイルへと帰って来るが、構成に違いが見られる事は間違いなく喜ばしい。
この曲の巧みなギターソロにおいてもまたバックミュージシャンの才能を否定する事はできず、さらには自分にとってこのアルバムのハイライトの一つとなった。「From Dusk Till Dawn」はこのアルバムにおいて非常に独特な曲だ。オープニングはエレクトロニックなバップがシンセと3名の女の子のボーカルを補完している事でダンスミュージックの影響の強い悪臭がする。この曲が全開になるまでは多少の時間がかかる事がガッカリとさせる。なぜなら直ちにスタートからアクションへと入っていく事がBABYMETALのベストだと自分は感じているからだ。曲がエネルギーと興奮で爆発するまでの間、リスナーを待たせる事を強要するのではなく。けれども曲が壮大なパートへとたどり着けば、メタルレジスタンスでここまで聴けた全てと同様に引き込まれ楽しめるものではある。

「Awadama Fever」はNine Inch Nails*4のレコードでも馴染まない程、非常に歪んだノイズの連続ではじまるが、過去数年においてBABYMETALの意味を明確としてきた、リスナーにとって中心となる従来のボーカルと楽器構成となるまで長くは続かない。
インダストリアルロックが継続的に曲とJ-POPボーカルの裏に轟いていながらも、これは明らかにこのアルバムにおいて商業的に受け入れられやすい曲の一つだ。
曲の終わりでは歪んでいないギターが強調され、普通にヘヴィーな楽器編成で締めくくる事より適切な結論へと導いている。「Awadama Fever」に続くアルバム8曲目は「Meta Toro*5」と名付けられている。この曲のボーカルスタイルは国家の歌唱をコピーしようとしているかのように自分には感じられ、それは良い意味で奇妙だ。曲のサウンドは一般的なギター、ベース、ドラムと、従来のロックやメタルには応用できそうにない多様な楽器から成る。この曲は間違いなくフォークとメロディックデスメタルの影響を受けており、独特な低音のチャントが楽曲を通してあちこちに登場する特徴がある。

「Sis Anger」がアルバム全体を三分割した最後のはじまりになる。その最初から曲はショッキングなアクションへと入り、ミュージシャン各自の楽器によるプレイの速さはNile*6のようなテクニカルデスメタルバンドと符合する。もし君がエクストリームメタル*7が好きなら、ボーカルが具体的な好みに合わなかろうと、これが君のために特別に手作りされた曲だ。この曲がここまでメタルレジスタンスを聴いた中で、曲のムードとボーカルが本当に合っていないと感じた唯一の曲で、その事がそれぞれを隔てていて、一緒に聴くとそれぞれが場違いに感じられる。
レコード10局目は誰もが自分を関連付ける事ができる言葉「No Rain No Rainbow」と名付けられている。音楽的にはストリングスがついたピアノセクションの上を柔らかなボーカルが乗る事ではじまり、日現時的でピースフルな体験へと向かわせる。
このレコードのパワーバラードである模様で、昨今の多く、とりわけメインストリーム側のメタルレコードは商業的なアピールを増すための曲を一つは備えているため驚く事ではない。これのギターソロはクラシックロックの影響を非常に受けていて、70年代や80年代のギターバンドの思い出を蘇らせるが、他のギタリストが演奏している事を思い描けないという点で独特さを残している。

このアルバム最後から2番目となる曲は「Tales of the Destinies」。始まりからすぐ、
メタルレジスタンスこれまでと異なり、魅惑的に境界線を越えるギター、ドラム、ピアノをともなう。これらのミュージシャンたちによるBABYMETALの貢献が賞賛が足りていない事は自分にとって悲しい事だ。しかしながらSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALのボーカルは非常に力強く、その事が気を和らげさせてくれる。バンド全体が良好に貢献しているという事だからだ。アルバムを締めくくるのは「The One」で唯一英語で歌われている曲だ。アルバム全体がバンドの母語である日本語で歌われていると予想していたため驚いた。この曲は締めくくりの曲として適切に届けられており、一般的なテンポとムードが結論へとじわじわと導く事がこのレコードの記憶に残る最後の曲としての役割を果たしている。
本質的にBABYMETALのニューレコード「メタルレジスタンス」は彼女たちのデビューアルバムを楽しんだファンを喜ばせるものであり、幾人かがBABYMETALを「ギミック」と捉えた事が広く流布したために、このバンドの音楽を調べる事に多少乗り気でなかった新しい人々を巻き込むはずだ。
女の子のトリオが疑いなくグループのイメージとなっていて、マーケティングする上でのセールスポイントである事は確実だが、それらに気を取られた上で最も重要な事を判断しないでほしい — それは音楽だ。ヘヴィーメタルのファン全てはこのアルバムをチェックするべきだ。なぜなら結局それがどうなろうと最低でも一つは楽しめるものがあるはずだから。完璧なレコードではないもののメタルレジスタンスにはネガティブさに勝る多くのポジティブさがある。

訳者注釈:
*1 Zach de la Rocha
後述のRage Against The Machineのボーカリスト。

*2 Rage Against The Machine

ラップメタルの代表格であり、メタルシーンを超えてロック全体に大きく影響を与えた。

*3 Deeds of Flesh

アメリカのブルータルデスメタルバンド。

*4 Nine Inch Nails

アメリカのインダストリアルロックバンド。
メタル的なアプローチも見せるが、現在はヘヴィーアンビエント、シューゲイザー等様々なジャンルの影響を受けた多彩な音楽性を見せる。正式メンバーはコンポーザー・ボーカリスト・ギタリストのTrent Reznorのみ。

*5 Meta Toro
原文まま

*6 Nile

アメリカのテクニカルデスメタルバンド。

*7 エクストリームメタル
デスメタル、デスコア、スピードメタル、ブラックメタルなど攻撃性が強く尖ったメタルサブジャンルの総称。しかし非常にテンポが遅いメタルのサブジャンルであるドゥームメタルも範疇に含まれ、エクストリームの名の通り、メタルの中でも極端なサブジャンルの総称として使われている。
一時期はメタルコア等も範疇として語られていた事があるが、昨今は除外される傾向にある。

ソース: Metal Wani

6 件のコメント:

  1. 翻訳お疲れ様です

    >完璧なレコードではないもののメタルレジスタンスにはネガティブさに勝る多くのポジティブさがある。

    これは、ベビメタがベビメタである限り言われ続けるような気がします。
    なぜなら、メタラーにとっての完璧なアルバムとは「メタル100%」のアルバムだろうと思うから。
    キャッチーなJ-POP要素を残し、そちらを求めているファンにアプローチする限りは、彼らには「商業主義的」に聞こえるのでしょう。
    ただ、(漏れ聞こえてくるものを聴いた限りにおいてはですが)この筆者の各曲に対する感覚は、メタラーの自分にはけっこうよく分かります。
    自分はベビメタをもうそれで一つのカテゴリと認識しているので、筆者が気にしている点も含めて「おもしろさ」だと感じていますが、まだそこまではまり込んでいない人間だとこういう見方になるのかなぁと思います。
    フラットな立場で誠実な評価をされているのではないかなと感じました。
    神バンドは確かにもう少し評価されていいと思います。
    ただまあ、あくまで「キツネさまから使わされた」サポートメンバーなので、立ち位置的にどうするかは悩みどころですね

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  2. 翻訳、いつも楽しみにしています。

    神バンドは、メイトの中では(内外問わず)大きく評価されてるんですけど、公式が公表していないこともあり、やっぱり普通のリスナーには分からない所でしょうね。
    (公式としても、現在の神バンドはあくまでサポートメンバーだし、ベビメタのメンバーが入れ替わったりするから公表し辛いってのも分かるけど・・・。)

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  3. 頑なにメタルの文脈から離れない、もしくは離れようとしない批評だと感じた。
    まあ僕はまだ新譜を聞いていないからこの批評を批評することも出来ないんだけど…。

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  4. エクストリームメタル*7の脚注が抜けているようです

    POPが聞こえてくると必ず貶さなくてはいけない原文筆者の方は大変ですねぇ

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    1. ご指摘ありがとうございます。
      加筆訂正させていただきました。

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  5. 長文翻訳ありがとうございます!
    FIRSTの頃はほとんどお茶を濁す程度しか見受けられなかった歌唱/インスト/楽曲構造等に言及するレビューが(DOM LAWSON氏は努力されてましたが)、SECONDでは飛躍的に増えましたね。賛否に関わらずそのこと事態が今のBABYMETALへの評価だと言えるのかもしれないし、あるいはそうしなければならない理由があるのでしょう(SECOND発売前という理由だけでなく)。
    それらに共通する端的に挿入された「賛意/好意表明」が、逆説的に彼女たちの立ち位置を表しているようで興味深いです。

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