2016年3月25日金曜日

【Hello Asia】メタルレジスタンスレビュー

オーストラリア 発アジアの音楽とエンターテイメントを紹介するサイト「Hello Asia!」によるレビューです。

アルバムレビュー: BABYMETAL – 「メタルレジスタンス」(日本, 2016)

Adrienne Stanley著

BABYMETALは強烈に見事なアルバムメタルレジスタンスで聴覚への襲撃を届ける。その女の子のみによる日本人のトリオは
2014年のセルフタイトルアルバムに続くフルアルバムをもって、彼女達にとって現在に至るまで最も感情的に複雑なアルバムを届けるという窮地にいる。

その12曲収録のリリース作日本人メタルトリオはゴシックロリータのスタイリスティックなオーラを、若々しく快活なボーカルとドゥーム*1に影響を受けたグロウルのコンビネーションと休息に火を噴く警笛のようなドラムプレイで超越する。

メタルレジスタンス
そのグループの裏にある神話への音楽的贈呈物として供される。ヘヴィーメタル世界の統治者である狐の神の使者として地球へ送られたというバックストーリーだ。
2014年2月に発売されたセルフタイトルスタジオアルバムにおいて、その若い女性達がアイドル的に純真な娘を演じていた事で一部に拒否されていたが、メタルレジスタンスはワールワイドなスタジアムツアーとほぼ2年の間努力を費やしたステージでの時間によって成熟を増した事を例証する。

BABYMETALは「Gimme Chocolate!!!」のヴァイラルヒット以降、多数の模倣者を発生させたが、「Awadama Fever」や「GJ!」のような至宝はSU-METAL(中元すず香)、MOAMETAL(菊地最愛)、YUIMETAL(水野由結)が日本のヘヴィーメタル&ハードロック女王として君臨する事を証明している。

アルバムは「Road of Resistance」のスウィープするオーケストラ調のギターリフで幕を開け、聴覚への襲撃の炎を抜けるかのようにドゥームメタルスクリームとパワフルなドラムプレイによるディストピアの集中砲火へと突入する。

彼女たちのKawaii美的特質は途切れる事なく、メタルレジスタンス2曲目の「KARATE」へと織り込まれていき、そして 「YAVA」はポップロックのフィールドを開拓する奔放に動きまわる曲だ。

「Awadama Fever」においては、絶え間なく打ち鳴らされるジャングルを散在させた90年代のDrum&Bass*2を思い起こさせるビートに対し、3人はチアリーダー的なコールを届ける。「GJ!」は甘ったるい糖分過多のボーカルとドゥームメタルグロウルを同時に供する。「YAVA」はポップロックからパンクまでのフィールドを開拓する奔放に動きまわり、スラッシーなブレイクダウンがある曲だ。*3無垢なボーカルが「Amore」と軍隊的な行楽がアルバム中盤にのし歩く「Meta Taro」のはじまりで強調される。

「Sis. Anger」では繊細な女性ボーカル、燃えるギターを両立させる事で、十代の怒りのアンセムを例証するファンタスティックなサウンドを強調する。「No Rain, No Rainbow」は柔らかでアルバムの他の曲との対照を成しており、80年代スタジアムロックバラードの伝わりやすい深い感情を呼び起こす。うまく配置された曲順がメタルレジスタンスの誇大な歌曲に打ち負かていたかもしれないリスナーに休息の時を与える。「Tale of the Destinies」はDream Theaterをオペラ風に思い起こさせるもので、ランダムなクラシックピアノのコードとオーケストラ調のギターソロがある。

このアルバムは活発かつ厳粛な英語によるバラード「THE ONE」で締めくくられる。
とりわけThe God of Metalによる演奏をもってすれば、彼女たちのライブセットの仕上げにふさわしい曲だ。

メタルレジスタンスにおいてもBABYMETALはKawaiiメタル に君臨する事を続け、独自のジャンルを融合したサウンドは、恐ろしいアニメーションシリーズMetalocalypse*4のサウンドトラックの役目も楽々とこなすだろう。

ヘヴィーメタルとJ-POPの未来は最新アルバムでのBABYMETALの終末後の世界のようなパフォーマンスの手にあると警笛を鳴らす。そのアルバムの素晴らしさは8.5を受けるに値する。

レビュースコア: 8.5 / 10


訳者注釈:
*1 ドゥーム

メタルのサブジャンル「ドゥームメタル」の事。
ヘヴィーメタルの開祖とも言われるBlack Sabbathの直接的な影響下にあり、ジャムロック等を取り入れたものも多く見られる。ミッドテンポ以下のゆっくりとした楽曲が多い。ドゥームメタルではグロウルを使わないものも多く、また使われているそれも一般的なデスメタルのグロウルと違わないため原文において繰り返される「ドゥームメタルのスクリーム」は解せない表現ではある。

*2 ジャングルを散在させた90年代のDrum&Bass

ジャングルとDrum&Bassの差異はとりわけ90年代においてはつけ難いが、おそらくこういった楽曲の事を指しているものと思われる。

*3 「YAVA」はポップロックから〜
YAVAについての記述が2度出てくるが原文まま。

*4 Metalocalypse

架空のデスメタルバンドDethklokを描いたテレビアニメーションシリーズ。
メタルをパロディしたジョークに満ちたコメディ作品。

ソース: Hello Asia!

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