【NPR】KARATE MVレビュー

LARS GOTRICH著

メタルは可愛くあるべきものではないと言われるものの、メタルヘッズ達が猫とポーズをとる大型カタログがあり、子守唄になったMetallicaの曲、そして、ああ …Metallicaの幼児服まで。2014年、3人の挑戦的な可愛さの日本人の女の子達がメタルがバッキングする活発なJ-POPによってシーンへと参入し、そのジャンルにはギミックとわざとらしい演出の長い歴史があるにも関わらず、ネットメタルオタクの怒り(訳注: 過去のNPR記事へのリンク)が欠かされる事はなかった。しかしまたBABYMETALの明快な滑稽さに惹かれた、強く擁護する情熱的なファン達の集団も存在する。その筋金入りの音楽が長らく欠いていたものにヤラれたのだ: 気後れせず楽しむという事に。



そこから2年が経ち: BABYMETALのニューアルバム「メタルレジスタンス」は、元は芸能事務所によって結成されたそのバンドにとって大いなる成長をみせた魅力的なレコードだ。パワーメタルの大言壮語が核にはなっているが、アンビエント^*1やトランス^*2、伝統的なJ-POPバラードが、メンバーであるSU-METAL(中元すず香)、YUIMETAL(水野由結)、MOAMETAL(菊池最愛)の着る黒いチュールへと織り交ぜられている。リードシングルである「KARATE」はBABYMETALの最良形を思い起こさせるだけでなく、おそらく過去以上のものである。グリッチ^*3されたグルーヴが現在進行形のアメリカのメタルコアのシンプルさが重要である構造と、その楽曲を結びつかせ、また驚くほど自制が効いており、感情の込もったサビはJ-POPメロディとのより強い共通性をみせる。この曲は即効性のキャッチーさと壮大さ、Evanescence^*4のAmy Leeを彷彿とさせるSU-METALによるエモーショナルなボーカルを備えている。

過去のミュージックビデオ(訳注: ギミチョコへのリンク)が、3人の日本人の女の子達がメロイックサインを投げかけ、ヘヴィーリフで揃いのダンスを踊るバカバカしい装いであった事に比べ、「KARATE」の殺風景でスタイリッシュなビジュアルがよりドラマティックな雰囲気を反映させている。今は深い紫と黒からなる戦闘服で身を覆ったバンドにバックアップされ、格闘技マスター達、そして白いローブに身を包みスタッズがあしらわれたフェイスカバーを装着した幽霊とトリオは戦う。少しの間倒されてしまった後、その3名の若い女性達はともに立ち上がり、メロイックサインを掲げ、彼女達のハートへと引き寄せる。それは永遠のウインクと共にとどけられる柔らかな時間だ。

訳者注釈:
*1 アンビエント

元々はBrian Enoによって提唱された環境音楽というジャンルだが、昨今のジャーナリストは綺麗なパッドシンセが乗ったビートレス、またはビートの薄い音楽像の事を片っ端からアンビエントと呼ぶ傾向にある。

*2 トランス

元々は4つ打ちとアルペジオのループを特徴としたクラブミュージックだったが、現在では様々なサブジャンルに分かれ多様性がある。こちらもメロディのはっきりとしたシンセの乗った音楽を、片っ端からトランスと呼んでしまう傾向がある。

*3 グリッチ
波形をカットアップしたり細かくループさせる事でつくる効果の事。KARATEでは20秒、1分19秒あたり等で聴ける。

*4 Evanescence
ゴシックメタル、ニューメタルの影響を受けたアメリカのロックバンド。

ソース: NPR