2016年4月8日金曜日

【the music】オーストラリア音楽誌 SU-METALインタビュー

Baby Steps

(訳注: よちよち歩き・着実に前進する・コツコツと仕事をする・はじまったばかり 等の意味がある)

BABYMETALのSU-METAL(中元すず香)は、メタルは「うるさくてちょっと恐い」と以前は考えていた。英語でのレコーディングと同様に、彼女はJonty Czuchwickiに(完璧な英語で)伝えた。

 好むかどうかに関わらず、BABYMETALはセカンドアルバム「メタルレジスタンス」によって残り続ける。メタルと日本のアイドルミュージックのコンビネーションを一時的な流行とあざ笑っていた者は、BABYMETALの容赦ない勢いによって本質的な間違いを証明される事となった。ステージに上るメンバー(楽器を演奏するミュージシャンも含め)は、そのバンドの主要な作曲家ではなく、そのバンドは努力を重ねるメタルミュージシャンのアンダーグラウンドなメタルコミュニティを損なうものだと、このプロジェクトは非難されてきたが ― BABYMETALはその音楽で表現し、喚起したいだけだという事は明らかだ。
 ああ、ボーカリストのSU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALがBABYMETALのコンセプトを自発的に誕生させたのだとしたら、このプロジェクトはもっとクールだったかもしれない。だがBABYMETALはその結成経緯についてあまり気に掛けておらず、これから先の事をより気に掛けており、そのプロジェクトはメンバーの成長、メタルというジャンルを更に学んでいくと共に発展していく事が確かであり、その過程の始まりに過ぎないと強調する。

 リードシンガーの中元すず香としても知られるSU-METALは「セカンドアルバムのメタルレジスタンスで私達は今までに取り組んでなかった多くの新しいジャンルに挑戦しました・・・それに将来的に、これで留まりもしません。音楽をもっと探究したいですし、メタルをもっと探求したいと強く願っています。」と語る。BABYMETALがブラックメタル、ドゥーム、グラインドコアの要素を採り入れていくかについて明快な答えではないが、メタルレジスタンスはセルフタイトルデビューアルバムから飛躍している。後半のトラックSis. Angerは明確にデスメタルイントロをフューチャリングし、Tales Of The Destiniesはプログレッシブな冒険だ。
 今のところ中元は彼女の歌詞をBABYMETALに提供しておらず、その背景にある理由は好感を抱かせるものだ。彼女自身の言葉で説明したのは; 「BABYMETALを始めた時にメタルについて何も知らなかったのは事実です。実際、その頃はメタルはうるさくて、ちょっと恐いって思ってました。今はメタル、あらゆる種類のメタルと触れあって、私のメタルへの観点は本当に変わりました。実際のところ、メタルという音楽は思っていたよりのめり込みやすいものだって感じてます。何かを書く事は興味深いとは思いますが、その段階に進むには私はまだメタルを充分に知らないとも思います。作詞や作曲を担当する前にもっとメタルを学ぶ必要があります。」
 幸いな事に、彼女が言ったのは「他の2人のメンバーのYUIMETALとMOAMETALは既に幾つか曲と歌詞を書いているんです。2人はそれを楽しんでるはずで、一緒に旅をしている間に時々、例えば2人が曲を書いたりメロディーをハミングしたりするんですけど、いつも凄いキャッチーなものになって頭から離れないんです。彼女達は曲を書く事にもっと興味を持っているかもしれないって思います。 」中元にとっては: 「曲をものにしたり、ステージで曲を伝えるというとても大きな役割を既に担っています。それだけでとても楽しいですし、今はその事に全てを集中しています。」
 中元によるメタルへの観点の変化は、ニューアルバムの主要なテーマになっている。「メタルという音楽は実際に心に届くものです。」そう彼女は言う。「凄く強いイメージがあります。全てのメタルという音楽はとてもパワフルで、言われるような重苦しいようなものでは全くなくて、どんな事をしている人にとっても前へ進む手助けをしてくれる音楽だと感じてます。」このテーマを中元は更に進める: 「歌詞はとてもポジティブで、リスナーを奮起させるものが多くあります。例えば私達の曲の中でもRoad Of Resistanceという曲の歌詞は、人生の中で未踏の道を進む事や、未開の領域を探る事、自分を信じる事を伝えています・・・それは去年のワールドツアーで私達がやっていた事を反映しているんです。例えば新しい事に挑戦したり、新しいジャンルの音楽で実験したり。」
 メタルレジスタンスではBABYMETALの曲として初の英語でのパフォーマンスをフィーチャーしている。中元にとってThe Oneはレコーディングで最も収録が難しかった曲であったが、後にそのアルバムで彼女が最も誇りに思う曲となった。「The Oneは私が初めて英語で歌った曲だったので、簡単な事ではありませんでした。」と、中元は話はじめる。「いま私は英語を勉強しているんですけど、話すことと比べて歌う事がどれだけ難しいかを実感しました。 トレーニングを重ねる必要がありましたけど、これで全て英語の初めての曲ができたという事は、全てのファンの方々が理解できる初めての曲が出来たという事です。この曲をファンの皆さんが聴いてくださるのが待ちきれませんし、曲に込められたメッセージを聴いてくださるのも待ちきれません。」
 明らかにその 努力は国際的なファンとより強く繋がるためのものだが、この事によって中元はBABYMETALがそのルーツから離れるとは思っていない。「もちろん今は日本語の歌詞も私達にとって非常に大切です。それが私達自身だから。でも英語ではもう歌わないという事ではないですし、えとー、また機会があれば採用するかもしれません。」アルバムの大部分が日本でレコーディングされている一方、幾つかの作品はオーストラリアで収録された。「オーストラリアにいる間はずっとスタジオにいるので、あまり多くは見れてません。」地球の裏側への旅を中元はそう語る。「街を少し散歩できたんですけど、それだけです。また戻ってきたいですね。もしかしたらいつかツアーで。」ほぼ仕事、遊びはなし。中元はレコーディングのハイライトをオーストラリアで彼女の誕生日を祝った事だと説明する。「[オーストラリアで]誕生日を祝ったんです。海外だったので、誕生日ケーキとして、ちゃんとしたケーキじゃなくてカップケーキを初めて貰いました。凄く楽しかったです。スタジオで誕生日をお祝いしてもらってるんだなって思って。」

On The Road

(訳注: ツアー中)

BABYMETALは伝説的Download FestivalでLed ZeppelinとDeep Purpleと同じ地(Donington Park)でパフォーマンスし、Lady Gagaのサポートとしてアメリカをまわった。
「DownloadではSlipknotを見に行きました。」中元が言う。「もちろんそのステージでのパフォーマンスは純粋に素晴らしかったです。ドラムがステージで回転したりとか、そういうのを覚えてます。Slipknotはファンがライブを楽しめるようにパフォーマンスにたくさん迫力をこめてるんだなって思いました。いつの日かBABYMETALもあれくらい力強いものが出来ればって願ってます。」
Gagaのオープニングアクトを務めた事について: 「最初の頃、ファンの皆さんはあまり私達に暖かい反応を見せてくださらなかったんです。何が起こってるのかわかっていなかったので。でもライブが半分くらい進むとファンの皆さんがポジティブに反応してくださって、ライブにのめり込んできて、一緒に歌ったり、踊ってくださってるのが見えました。その事でどんな人の前でも、どんな音楽を聴いている人でも、BABYMETALはジャンルや言葉の壁を超えて、私達がグループとして行っている事を伝えられるんだって思いました。それは私達にとって素晴らしい経験でした。」


ース: The Music

13 件のコメント:

  1. 素晴らしい記事と翻訳です。
    本当に未来を見つめる事を分かっているライターだと思います。
    スーメタルとしての答えも背伸びしない真っ直ぐなもので素敵です。
    ゆいモアさんの4の歌が出来た経緯をちょっとだけ知ってたのでちょっとクスッときたところもあります。相変わらずの調子で小林さん困ってたりして、でもそれが曲につながっていってるのも小林さんあってこそなのかなーと思います。セカンドアルバムにどう影響してるのか知りたいところです。
    一寸先は闇的思考の私には未来を信じていく姿が本当に眩しく見える記事でした。

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  2. Suの誕生日に普通のケーキぐらい用意してあげてくれよ。
    それぐらいの待遇を受けても罰があたらないくらい稼いでるだろうに。

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  3. 中元すず香の生真面目さがよく出てる。
    中元、日記書くといいよ。
    ポイントは自分の気持ちを表すこと。
    それを「2分」の長さで発表できること。

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  4. ななさんもおっしゃってたけど、良質の取材記事ですね。
    Su-metalの最近のしっかりした受け答えにも感心しきり。
    もう「ポンコツすーさん」なんて言ったら、Kick Assです。

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  5. That's Not Metalのアルバムレビューとウェンブリーライブレビューきてますがいつか翻訳お願いできませんでしょうか

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    1. かなりカロリーが高い作業になるので後回しにしてしまっているのですが、近い内にどちらも訳そうと思ってます。お待たせしてしまってすみません。

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  6. スーメタルは本当にこれを全部英語で答えたのか⁉︎
    事前に質問が送られてい来て、多分用意された英文を読みながらの回答だろうけど、それでもスーメタルの役割を演じ切るから大したもんだ
    あ、いつも一番知りたい情報の翻訳を乙です!

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  7. >ああ、ボーカリストのSU-METAL、MOAMETAL、YUIMETALがBABYMETALのコンセプトを自発的に誕生させたのだとしたら、このプロジェクトはもっとクールだったかもしれない。

    ファンになってしまったメタルヘッズなら誰しも考えることだろうが、それでは「無垢」が失われてしまうんだな。

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    1. ベビメタは映画とか演劇のようなもので役者が自発的に物語を作っているわけではない でも観客はそれを見て感動する 自発的だからもっとクールとは限らないと言うことのように思います

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  8. すぅちゃん、おじさんを泣かせるんじゃないよw

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  9. ウエンブリーの「THE ONE」の演奏で、あれほど多くの国旗が振られ、そのプロジェクトに25か国のメイトが賛同し、国境を越えた連帯が現出された。
    その場面にその場で直接立ち会い、得も言われぬ感動、感激に鳥肌が立った。
    それは「伝えたい」と言う、SUの「歌う事に込めた真摯さ」が、国境、言語、性別、年齢を越え、人々を動かした結果だ。
    SUの驚異的な英語力の向上は、その情熱と生真面目さが原動力となっていた事をこのインタビューの内容から感じ取れる。
     あのウエンブリーの「THE ONE」の場面は、マイケルの「WE ARE THE WORLD」を彷彿とさせると言う、Youtubeの書き込みが有ったが、私はそれを越えていたと思う。
    「伝説の島唄」から垣間見えるSUの内面の純粋さが「THE ONE」に込められた情熱のバックボーンとなり、国境を越えて人々を動かし始めた。
    やはり、英語は重要な要素だ。あの若さに、あの情熱が加われば何でも可能なのだ。羨ましいですね。SUはあっと言う間に手の届かない処へ行ってしまいそうで、最近、寂しさも感じ始めていますが…
    で、話は変わります。いつも素晴らしい翻訳、有難うございます。今後とも、宜しくお願い致します。今まで申し遅れてました。申しわけありません。

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  10. 中元は話はじめる。「いま私は英語を勉強しているんですけど、話すことと比べて歌う事がどれだけ難しいかを実感しました。
    ⇒⇒ここ一番好きな所。より上を目指すヴォーカリストやなぁ。プロ。翻訳  共々素晴らしい。ウルッッときました。

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