2016年4月16日土曜日

【BLABBERMOUTH】メタルレジスタンス レビュー

Ray Van Horn, Jr.著
レーティング 8 / 10

元はポップス軍団さくら学院の一部であったBABYMETALを掴むには途方もない手段が必要となる。巨大なファンを魅了する特製のスクリューボールの一つや二つを備えたカリスマ的スポーツチームと彼女達は同価値であり、必然的にヘイターの扉を開いている。十代の女の子達が フリルのスカートとお下げ髪でうろちょろと、メタルとJ-POPの奇妙な混ぜ物を作る様を見て、人々は衝撃を受け — 一部はゾッとし —ていた。にもかかわらず、中元すず香(またはSU-METAL)と彼女の後輩である携帯武器(各自、水野由結「YUIMETAL」菊地最愛「MOAMETAL」)による軽快な「メタルアイドル」試合は国際的なセールスチャートのトップへと踊りでていて、特に今のような時代には希少となっているゴールドステータスを獲得している。日本人女性パンカー少年ナイフは多少羨ましく思っているに違いない。

抵抗(訳注: 原文でResistance)は無駄だ。BABYMETALの曲はキャッチー過ぎる; 彼女達のステージでのダンスは上手すぎる。彼女達のアリーナを花開かせる上演は80年代にあったパンチ力と叫びをMangaのメイクオーバーにて蘇らせた。ああ、君はそれが憎いと言えばいい。だがそんな君たちの多くは密かにYouTubeで「Gimme Chocolate」を繰り返し再生している。密かに君はPUFFY AMIYUMIの飛び出す「Teen Titans」テーマも見つけ出していた。どうしてそうせずにいられるっていうんだ?再び: 抵抗は無駄だ。

BABYMETALのセカンドアルバム「メタルレジスタンス」に成功が込められている。SU-METALは今や18歳、YUIとMOAは16歳で、彼女達の花盛りの年齢は更なる洗練をもたらす。「メタルレジスタンス」には幾つかの新しいトリックが詰まっている。それがこのバンドが正統である事、一発屋との予言の誤りを証明する。

慌てふためく市民達(ゴジラよ永遠なれ!)の騒音と壮大なインストゥルメンタルのイントロからはじまる「Road of Resistance」がDRAGONFORCEのようなスピードで急発進する。SU、YUI、MOAが、彼女達の名前を世界に知らしめたJ-POPセンスの攻撃的速さの舵を穏やかにとる。悪魔を弄ぶ「Road of Resistance」がメタルヘッズとコンフォートゾーンへと突き落とす助けをする。肝に銘じろ。もし君がBABYMETALの2014年のアルバムを見くびっていたなら、ここでは心を入れ替えれそうにもない。

「KARATE」は適切に切り刻まれ攻撃力を上げた無数のブレイクダウンチャグが、快く響くサビの舞台を整える。曲の本当のブレイクダウンはふさわしく穏やかだ。アジア用品スーパーマーケットで買い物をしたことがあるなら、自宅でくつろぐ時間にぴったりだ。PUFFY AMIYUMIの馬鹿げた程に利口なジャンル融合のバトンを受け取り、BABYMETALトリオはスカとEDMをシンセをまきちらした激しい「YAVA!」で奔放にふるまう。であるからして、女の子達が「GJ!」でハイヒールについてスキャットする事も驚く事ではない。(J-RAPって言うの?誰か教えて?)そして殴打するサビの上にちらされたシンクロしたボーカルが花咲く。

ATARI TEENAGE RIOT X ENGLISH BEAT*1におしゃべりなギタープラグを加えた「Awadama Fever」はこのアルバムの逃れられない中毒性の高いトラックだ。もし君が回り続ける「Gimme Chocolate」のバブルガム的罠から救い出すライフラインを請うているなら、「Awadama Fever」に捕らわれの身になるだろう。このアルバムで最もクールなものの一つは「Amore」であり、このアルバムで最も洗練された曲の一つだ。津波の速度と速弾きギターに対して、BABYMETALがハチミツ味のポップロックで抗う。トリップホップとEDMがエレクトロバラード「From Dusk Till Dawn」中で躍進する。心を開き、SU-METALが晒す幾つかの美しくも涙を引き出す高音に降伏せよ。

スカンジナビアフォークメタルが「Meta Taro」には一貫しているのか?なんなんだこれは?ああ、そうだ。嘔吐する共謀者と共に、美女と野獣のメタル策略が完成する。「Meta Taro」は多少きまりの悪いながら、評価できるほどに冒険心があり、女性達の自信がその役割を果たしている。そして待て。「Sis. Anger」とは君が考えるそれだ: Metallicaの出費へのイタズラなからかい?イエスでもありノーでもある。意図的に汚されたギターとずっしりとしたドラムが「St. Anger」の扉を叩く事に疑いはないが、進軍のようにグラインド*2し、急転換するテンポでBABYMETALが滑走する事で、そのジョークは強制的にではなくほのめかされる。それは奇妙だが愉快な試みだ。女性達はそして香りの良いストレートに表現されたパワーバラード「No Rain, No Rainbow」を繰り出す。それは彼女達のライブでアリーナに響く合唱を簡単に引き出す。「The One」(このアルバムで英語版が送られる)が既にそうしているように。

年齢、経験、そして自発性が十代の社会問題に反対する事で、このアルバムで否定できない成熟期へとなった。BABYMETALは「Tales of the Destinies」で多少の英語を使っているだけでなく、彼女達の圧倒的な「Babybone」バンドをDREAM THEATERスタイルのプログレサイドへと放った。SU、YUI、そしてMOAは彼女達の若い頭上に浮かぶ「ギミック」や「一過性」という言葉の充分に理解した上で、「メタルレジスタンス」で芸術性のため最大限に懸命になっている。ここにいたるまで、この女性達が試みたこと全て、そしてBABYMETALの大胆さは彼女達をなんらかの伝説にするだろう。この彼女達を乗せた奇妙ながらも実に魅力的な乗物が、どれだけの時間がかかろうとも。


訳者注釈:
*1 ENGLISH BEAT

イギリスの2トーン・スカバンド。

*2 グラインド

グラインドコアという高速で激しいハードコアのサブジャンルとかけている。
Napalm Deathがパイオニア。メタルとも非常に密接したジャンル。

ソース: BLABBERMOUTH

5 件のコメント:

  1. グラインドする*3急転換する
    の脚注がなく
    本文に「*2」が無いようです


    BABYMETALにはメタル世界地図の旅だけでなくメンバーの成長もあってしばらくやることが尽きそうにないですね

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    1. ご指摘ありがとうございました。記事修正致しました。

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  2. J-POPのメロディはよほど甘い(スイート)という印象なんですね。
    というか、今の洋楽が甘いメロディを忘れているだけ!と突っ込みたい。

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  3. メタ太郎は子ども向けの次世代のメタラーを養成するための戦略的な曲ということはあまり知られていないのかな?

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  4. 色んなレビュー見てきたけど、いい加減どれもJPOP=甘い、糖分過多みたいな表現で
    紋切り型というか、こう言っとけばいいかみたいなのを感じる。
    要はよく知らないけどPOPだしメロディアスらしいしこんな感じでしょ、みたいな。
    まあ実際一般的にメロディ重視な所はあるけどさ

    どうも西洋人ってのは保守的というかステロタイプでしか見れないというか…
    JPOPって括りがそもそもいい加減すぎるから(だって連中は日本の音楽は全部JPOPって言うからな)
    前提からして間違っているんだけど

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