BABYMETAL アメリカライブ:なんて時代に生きているんだろうか
Beau Hindman著人生についてのおもしろい事実がある。
俺たちは既に死んでいる。それは大したことなんかじゃない。全員に起きる事で、それは確実なんだ。もしこれを読んでる君が幸運な新生児で、これから230年生きるとしても、いつかは死ぬ事になる。時間は進み続け、俺たちには止める術がないって事を常に考えている。止まらないという事は、事象は既に発生しているのであり、君が考える未来とはそういうものなのだ。だから俺たちは死んでいるようなものなんだ。夢の中を生きているんだ。
しかしDallasでのBABYMETALは全くもって宗教的体験だった。説明させてくれ。この2つは関係してるんだ。
よくあるBABYMETALは「リアル」なメタルじゃない、なんていう多くのレビューの始まり方については忘れようじゃないか。俺はパンク、メタル、カントリー、カントリーロック、ポップス、ピアノを中心にしたバンド、それから様々なギグに自分が13歳くらいの頃から観客としても演奏家としても参加してきた。今の俺は45歳。君たちの多くと同じく、俺はたくさんのものを見てきた。だが、それが「リアル」なメタルだろうと、そうでなかろうと、あの日のDallasで見たようなものは過去に見たことがなかった。BABYMETALについていえるおもしろい事として、どれほどにそのライブが良かろうとも、君はそれに既に慣れている、という事だ。なぜならライブに行く頃までには、君はあらゆるライブ映像や音楽を取り憑かれたように聴いていたのだから。彼女達のライブが最高なことは既知であっても、その期待値を、彼女達が全てを常に素晴らしくこなしているという事実へと向ける事になる。ダンスのステップは淀みなく完遂され、Su-metalの声は素晴らしく、Moaのタイミングは完璧。それら全てがあわさり、音響的聖水となり君の胸を(良好な)心臓発作かのように打つのだ。
だから比較なんてしなくていい。他のグループと似たように聞こえるグループに対する意見を固める為に、力を費やしてきた人生なんて俺は生きてきちゃいない。BABYMETALとは独自の力と音なのだ。以上。
DallasのSouthside Ballroomは相当にクールだ。広々としていて、少し高くなったエリアがメインステージエリアを取り囲んでおり、酒とビールを備えたバーが外周にある。バンドのベストルックを見る為に最前へと向かった人たちの一部も知り合いだが、前へと行くつもりはなかった。なぜなら A) 俺はこてんぱんにやられてしまう B) ビールが欲しい。ってことは、トイレにもいかなくちゃならない。って事はピットよりステージに近いエリアは立ち入り禁止だ。俺と妻は場所を確保し、緊急事態に備えて落ち合う場所も決めた。俺たちはナイスな奴(元・芸能関係の弁護士。だから素晴らしい写真を持ってて、素晴らしいストーリーも聞けた)と会話を交わした。それから彼をBABYMETALへと誘った8〜12歳くらいの娘ともね。(BABYMETALは彼女にとって2回目のショーで、1度目はJustin Bieberだった。良い進化だね。)
高いビール(バーのスタッフは最高だった)を数杯、一気に飲み干し、準備万端。このグループに対して、これほどにエキサイトする事になるとは思っていなかった。踊ったり、歌ったり、バカみたいな振る舞いをする事はわかっていたが、BABYMETALが登場すると、その音楽が自分の身に乗り移って支配下においてしまったんだ。わかるよ、わかる。もちろんアルコールも助長してるが、グループが登場した瞬間、自分の身体が張り詰めたのがわかった。あたかも虎に飛びかかろうとしてるのか、マンモスへと槍を投げようとしているかのようだ。虎に飛びかかった経験もなければ、マンモスに至っては生存してもいないが!おそらくそれは、原始的な人間の感情に対するバンドから俺へのコールアンドレスポンスだったんだ。
Megitsuneが始まれば、Jumpという命令に従う他はない。奇妙な事に(そんな事をするとは予想もしていなかったのだが)、Su-metal、Moametal、そしてローテーションする3名の素晴らしい「サポート」ダンサー・アベンジャーズの一人であるMomoと同じように俺はダンスをしていたんだ。(今回のツアーでのアベンジャーズはMomo、そしてRiho(ベストメタル)、そしてKanoだ)アベンジャーは(今のところ?)マイクをつけていないが、3名共が汗をかき、飛び、メンバーと同じように激しくダンスしている。どういうわけだか、俺はそのダンスを脳に焼きつかせていたようで、下手くそな自分なりのダンスを踊れるほどになっていた。するべきダンスを曲の違う箇所でしたりもしていたが。BABYMETALとはキャッチーな音楽で、そのダンスもまたキャッチーで、頭にこびりついて離れないんだ。
俺はライブ全体をストリーミングするというミスを犯した。そこそこのスマホであるGalaxy S8 Plusを使ってPeriscopeにストリーミングしたんだ。中継するつもりもなかったし、後ろにいる誰かの視界をふさいでいるならやめるつもりだった(尋ねてもみたんだが、一人の男が250人が視聴している事に気付いてた)。だが、録画していなければ、この瞬間を思い出す事ができないという事に気付いた。録画した。下手くそに。周りの観客は少し踊っていたが、妻がステージ反対側のもっと良いスポットに移動する事を決めた(そして、そこで彼女は素晴らしい写真をいくつかおさめた)。だが僕はそこに居続けた。時折頭の上で携帯を休めながら。次回はライブ中はカメラをできる限り使わずにおく。学んだよ。
Papayaは圧倒的。以上。強烈で、燃やし尽くす、キラーとして完璧なライブソングだ。俺も狂った。彼女達はHeadbangerも演奏し、俺は完璧におかしくなった。あれほどに長い間愛してきた曲が聴けて、グループがその曲をパフォーマンスしているところを見られるというのは、絶対的なマジックだ。
ライブ全体がエネルギッシュ、漫画的、陽気、速く、中毒性が高く、そして誰しもを歓迎している。MOAMETALとMomoがみんなに向かって手を振り、可能な限りのあらゆる人とアイコンタクトをとる訓練を積んでいる様子だ。Su-metalはパンクロックの神として浮遊していて、汗をかき、逆光の中、光を放ち、観客のスマホライトの奇妙な光で色づいている。彼女が「Thank you, Dallas」と言った瞬間、観客が発狂した。彼女が僕たちについて言ってくれた。この観客を・・ここにいる人たちのことを。
キィイイイィィィィイイィィィィィィイイィィィイイイイイ!
演奏された全ての曲のことは事前に知っていたが、それでOKだ。その全曲を何度も聴いてきた。多分100回くらい?でもライブはまた別物。ショーに参加する事はファンとしての義務のように感じていた。始まる前、周りを見回して「準備はできてるか?準備はいいか?お前はどうだ?」と鬼軍曹かのように呼びかけている気分だった。これがファンダムってものなのか、と思っていた。正直にいって、このような体験をしたことがなかったんだ。他のファン達に囲まれるのは素晴らしい事だった。全く面識はないが、この音楽への愛を通じて繋がっているんだ。その点を強調するために述べると、俺はここまでエキサイトする事になるとは思ってもいなかった。汗でびしょ濡れになった俺を見て妻は、誰かにバケツで水をかけられたみたいね、と言っていた。
Su-metal、MOAMETAL、そしてMomoのパフォーマンス中、皆があえぎ、叫び、オーマイゴッドしまくり、求愛しているのが聞こえてきた。生身のグループに対してどのように反応すればいいのかわからなかったのだろう。残念ながらバックバンド(通常はKami Bandと呼ばれる)は、いつもの猛烈な精密機械のような素晴らしいラインナップではなく、スターウォーズに影響を受けたセッションミュージシャン達であった。彼らを非難するつもりはない(彼らは素晴らしかったし、全ての曲を短期間で身につけるのは大変だった事は間違いない)。でも俺はHideki Aoyamaのドラムを聴くためだったら何だって差し出す事ができただろう!
原点に戻ろう。俺たちは皆死ぬ。俺は今や45歳で、自分の後ろにある時間より、先にある時間の方が少ない。俺はアメリカ中部で自由という特権を得た素晴らしい人生を送ってきたが、今もなお続いているゲームの終わりの犠牲者へと、いつの日にか陥るのだ。BABYMETALはヘヴィーな音楽だ。間違いない。そしてダークで、時に不吉で、おそらくは幾分か悪魔的だ。しかし一度ファンになりライブを見てしまえば、彼女達が支持している特定のものが理解できる。
自分を信じろ。前へと進み続けろ。友達がつまずいた時には助けるんだ。離れてしまった友達の事も思い出せ。闇と戦え。
これは俺にとって重要なメッセージだ。ジャンルとしてメタルは大抵の場合、闇や恐怖に惹かれるものだ。だからこそ、希望、友情、さらには愛を奨励するメタルバンドを聴く事は究極にパワフルなんだ。そのメッセージを支える音楽が、とんでもねえくらい速くたって、そのメッセージが傷ついたりなんかしない。
Beau
ソース:http://epicdolls.com/beauturkey/2019/10/02/babymetal-live-in-the-us-what-a-time-to-be-alive/
Ma-Metalさん情報提供ありがとうございました
読んでるだけで感動してしまいました
返信削除翻訳有り難うございます
今ツアーイチ!のレビューだと思います 素晴らしい感想ですね
返信削除>希望、友情、さらには愛を奨励するメタルバンド
返信削除これこそがBABYMETALの強みなのかなぁと思います。
素晴らしい文章ですね。
返信削除思わず原文にも目を通してみましたが、教養とユーモアたっぷりで
それでいて小難しくない素敵なレポートでした。
素晴らしい翻訳をありがとうございます!
凄い感動!凄い読み応えだった・・・・・要約すると里保はベストメタルだと言う事か
返信削除火傷しそうなほど熱いレビューでした。
返信削除気の毒なGE!
ドラマーは正確ではないけどグルーブに溢れ熱いと思う!
「(ベストメタル)」てのが引っかかるな。なにがやねん。
返信削除著者のRihoへの評価は、ひとつ前の記事での言及が参考になります。
返信削除http://epicdolls.com/beauturkey/2019/09/20/the-absolutely-powerful-pop-of-babymetal/
他の二名と比較して、というところに拘らなくても良いでしょう。
BOHさんの、首がもげそうなヘドバンもプライスレスなんですが!?
返信削除翻訳感謝です。他のブログも出来ましたら宜しく御願い致します!m(_ _)m!