Babymetal at The Forum - ライブレビュー
先週末までは、ショーの為に最も長い距離を旅したのは、Wrestlemania 23の為にフロリダからデトロイトまで移動した時だった。The ForumでのBabymetalを見に行く為に移動した、フロリダからロサンゼルスまでの距離が、それを超える事は言うまでもない。でも、俺だけじゃない。国中から、さらには世界中の遠く離れた地から、この記念すべきイベントの為に集まってくるんだ。ショーの最中、俺の右隣に座っていたのはグアテマラからはるばる来ていて、俺の左側には中国から来た人。そして、多くの人々が、様々な場所から集まって見るのに、これほど最適なイベントはない。それは、バンドのニューアルバムMetal Galaxy — この地球に広がった多く異なる文化を称賛するアルバムを祝うものなのだから。ああ、そうだ。その長い旅は報われた。
アメリカで開催される初の大きなアリーナショーなんだから、そこで彼女達をまた見られる機会を逃すはずなんてなかった。そこには最大規模のプロダクションが持ち込まれるわけで、俺はスタンドエリアに席を求めた。雄大なプロダクション全体を捉えられるようにね。ていうのは結局のところ、このバンドっていうのは演劇なんだ。その劇的な体験の全てを捉えたかったんだ。ああ。その劇的なものも、きちんと届けてくれたよ。
Consequence of Soundでの最近のインタビューで、Moametalが最新アルバムの事について、宇宙船にのって様々なメタル星を旅するものだと答え、ファンにも一緒に乗船してほしい、と話していた。
そしてRolling Stone Japanでの最近のインタビューで、Su-metalは実際に彼女がBabymetalを従来のバンドのような見方というより、ミュージカルのように見ていると語っていた。彼女の発言が、自分に刺さったんだ。それこそ、まさに俺が経験した事、そしてバンドを追っている中で考えていた事そのものだったんだ。それはバンドを追うというより、ずっと続いているミュージカルを、物語がまだ続いている最中、ずっと追い続けているようなものなんだ。
実際、自分がこのアルバムで気に入っている点の1つにも、それがある。Metal Galaxyの中には、一貫したストーリーがある。新曲を集めたものというより、既存のミュージカルのサウンドトラックのようにも感じられるんだ。そして、実際に目にした今回のショーも、Suが言ったとおりに、舞台上の途方もないようなミュージカル・プロダクションを見たような気持ちになり、そして、そのステージはMoaが言った宇宙船のように感じられた。その宇宙船に、僕たちファンを同乗させ、これからも続くメタルレジスタンスの最新の冒険へと向かうスペースオペラだ。
そのステージ設備には動く舞台がある。彼女達の宇宙船だ。それがアリーナ片側から反対側まで彼女達を連れて行き、更には時に空中へと昇る。サイド寄りの自分の席からの眺めのおかげで、非常にユニークな観点で見る事ができた。ステージが移動する場所に応じて、女の子達を前から、横から、後ろからと様々な角度で見る事ができるんだ。それに加えて、このショーで使われたライティング設備は、この世のものとは思えない程のもので、しかも背景のビジュアルとも融合しているんだ。このツアー中に何度も何度も実験を重ねてきているものだが、このショーで見せた巨大な見せ方で、ついに完成形となっていた。
The Forumでの自分の席からの眺め
先にも述べたように、ニューアルバムには流れに沿ったストーリーがあると絶対的に感じられる。そして、過去作よりも随分と、バンドの神話が最も深く染み込んだものでもある。それはIn The Name Ofのような曲で、明らかになっている。バンドの神話ビデオがそのまま曲に変容したような曲なのだから。そして、このライブの背景のビジュアルも同じように感じられた。こういった大きなライブで、通常は曲間に流される神話についての映像の代わりにあるかのようだった(実際、そういった映像も数回流されたが)。それはまるで、曲自体がそういった神話のパッケージになって、バンドの継続的なストーリーラインが前面に出ているかのようだ。オーランドとアトランタのライブレビューで書いたように、Distortionのミュージックビデオの使い方は、女の子達がその一部になっているかのように感じられたし、同じような形で背景のビジュアルを他の曲でも使っていた。Starlight、初披露されたDa Da Danceの映像は、それぞれの曲のストーリーを伝える助けをしていて、曲から曲へのメタル・ギャラクシーの旅へと僕らを連れていってくれたんだ。
始まりから始めよう。ライブは、観客に「Don't think. Feel.[考えるな 感じろ]」というメッセージで始まった。そうなんだ。このショーはFeelingで、溢れているんだ。一番最初にFuture Metalが始まった時、それは実写アニメのオープニングを見ているようだった。彼女達の宇宙船が飛んできて、SuとMoaが生み出されるのを目撃する。このライブ前は、この曲についてあんまり何とも思ってなかったんだよ。ていうのは、ライブの間奏曲として良いブレイクにもなってたし、アルバムのオープニングとしてムードを決定づける良い曲だとも思ってた。でも、このライブでの使われ方、女の子達を紹介しながら、自分たちがどんなライブをこれから見る事になるのかを、明らかにするというやり方は、即座に効果を果たしていて、今回のライブで目に涙が浮かんできた数々の瞬間の中で、一番最初に涙腺がゆるんだ瞬間だった。
マジで、Future Metalは、自分が涙を流す曲としてあり得ないものだと思ってたんだけど、絶対的にないとも言い切れないものでもあるわけで。それに笑えるのが、俺をかき乱して泣かせたのが、このバンドのエモーショナルな曲だったってわけでもないっていうね。Shanti Shanti ShantiもPa Pa Yaも、かなりパーティーソングなわけだけど、どっちの曲でも涙が頬を伝って落ちてきたんだよな。泣いていなかった曲でも、俺の顔には全力の笑顔が浮かんでいて、あまりの笑顔で痛みを感じるほどで、その痛みすら、さらに笑いを促していくっていうね。
Future Metalが終わり、すぐに俺たちは最高潮になる。初めてのライブパフォーマンスになるDa Da Danceのイントロで、SuとMoaがMomokoと一緒にステージに登場したからだ。そんでだな。その曲の最初の一音目がはじまった瞬間、俺は叫んでた。本当にエネルギッシュな曲で、凄いショーの始め方だ。それに、その曲には俺のお気に入りの瞬間もある。Moaのラップパートで、Suが横にずれて彼女にセンターステージを取らせるんだ。今のBabymetalとはSu-metalとMoametalだ、という宣言が強調される瞬間だ。
次に続くのはMegitsune。その見晴らしの良い席だから顕著に見えて、気付かされたものがあった。それは彼女達のダンスルーティンには、クレイジーな程の量の足さばきが含まれているという事だ。今夜ほとんどの間、彼女達を目で追っていた一方、ある時には、自分の目は巨大スクリーンに向けられていた。それはMoaがSuに向かって変顔をする瞬間。今夜も彼女はバッチリきめてくれていた。
Elevator GirlとShanti Shanti Shantiが続く。とんでもなく楽しい。そしてKagerouが後に続き、ついに大規模ライブでのデビューを果たした。そのデビューの見せ方も大規模だ。神バンドのパフォーマンス中に炎が灯り、その熱はスタンドにまで伝わってくる。アメリカ人の神達は、このショーでパフォーマンスすべき存在だ。従来の神のラインナップを見られたなら、俺もとても喜んだだろうが、正直にいって、このギグに出演する機会を彼らが得た事を喜ばしく感じていた。このツアー全体の事を考えれば、このショーへの出演権を得てしかるべきし、この曲へ向けてのソロを、ここでも今一度演奏するべきなんだ。ニューアルバムの次のシングルがKagerouだという噂もあるし、この夜はミュージックビデオとなるパフォーマンスを目にしていたのかもしれないと、想像せざるを得ない。
次にStarlightが始まると、俺も含む多くの観客がスマホのライトを点けて掲げた。曲に適した光景を創り上げるためだ。今までにも数回、ライブでのこの曲は、自分にとって余りしっくりきてなかった事を語ってきたわけだけど、ビジュアルのおかげで女の子達が銀河を旅してきたように見えたせいなのか、それともSuが彼女の声にこめた力が別次元だったせいなのか、このパフォーマンスでは心の中に届いてきたんだ。それもめちゃくちゃ強く。今までこの曲を聴く時に感じているべきだった感情を、本当に実感できたんだ。
そして、Gimme Chocolateの時がきた。この曲中に、ふと巨大スクリーンを見上げた時に、Rihoの顔のクローズアップを見たんだ。俺以外にも何人もの人が、その瞬間に初めて彼女がいる事に気づいていた。(今となっては、彼女がKagerouから登場してた事を知ってるけど、彼女かどうかに注意を払ってなかったから、気づいてなかったんだ。)てかさ。MomokoとRihoの2人ともが、The Forumでパフォーマンスできたんだって理解した事に衝撃を受けたんだ。それからずっと涙が止まらなかった。今になってライブの事を思い返してみても、2人ともがライブに出られたって事が、一番自分に刺さった事だったかもしれない。このツアーで彼女達がみせた大変な努力が報われて、こんな大事な日にどちらかが待機してなきゃいけない事にならなかったって事が、本当に幸せな気持ちにさせてくれた。どちらかだけが出演する事になるんだろうって心配していたからね。
次がPA PA YA。タオル持ってきてたんだけど、今回は使うのをやめておいた。タオルを振り回したりして、曲にのめり込むと、印象が不明瞭になるって事を前にも言った事があったよね。だから、今回はしっかりと曲を見ておきたかったんだ。この曲が演奏されるのを見るのは3回目だったけど、実際、色々な意味で、この曲を初めて見たかのように感じられたよ。それに先にも言ったように、この曲も俺に涙を流させた曲だった。楽しくて仰々しい曲だけど、それでもSuのボーカルはパワフルで、それら全てが合わさって自分の心にくるものがあったんだ。
Distortionの後に、以前から俺に涙を流させてきた唯一の曲が続いた。Karateだ。(本当に感情的になりまくる夜だったんだよ!)それから、Headbangerを再び見られたのも、もちろん素晴らしかった。この曲はいつだってヤバいからね。事実、セットリストの曲目のほとんどは、ここまでのツアーでパフォーマンスされてきたものだし、様々な意味で、このショーはツアーの究極の最高到達点だと感じられるものだった。あたかも、これまでの滞在地は、それぞれ小さな冒険で、そこが大きな最後のバトルに繋がっていたかのよう。ここまでのヘッドライナーショーでは、コール&レスポンスを幾つかの曲から無くしていたけど、このショーでは復活させていた。それも更に大きなフィーリングを感じさせる要因になっていた。そして、それは最初のフィナーレを迎える時に、より明らかになった。Road of Resistanceだ。
この日は早くにThe Forumに着いていたので、中のサウンドチェックの音も聴けたんだよね。その時にチェックしてたのが、Road of Resistanceだった。ああ。全体を通しでチェックしてたんだ。超長く伸ばされた合唱パートも。だから今夜の合唱パートは長くなるって事はわかってたんだ。俺も馬鹿みたいに合唱してたって事を認めざるをえない。自分の周りのエリアでは誰も歌ってなかった。観客の声の中に埋もれる事がなかったわけだから、自分の声は馬鹿げて聴こえた事だろう。でも、その時がきた。自分の周りの誰も歌おうとしていないのだから、特に曲が止まり、ファンに歌を委ねた時には大声で歌ったんだ。
そして彼女達は観客全員を「We are」の時間で見送ったが、The Oneを演奏していないって事に気づくにつれて、興奮が高まった。なんてことだ。アンコールやるつもりなんじゃないか?以前はいつもアンコールしてたんだけど、2015年以来やっていない。もう数年が経つ事になる。でも彼女達は、あたかもショーが終わりかのように振る舞った。取り残された観客は待ち、歓声をあげ、もっと!と嘆願している。悲しい事に、観客の一部は本当にショーが終わったと思っていて、一部の人が帰りへと向けて階段をのぼりはじめていた。振り返ってみると、自分の後側の列はほぼ全員が席を離れていた。信じられなかったよ。残念すぎるじゃないか。このショーは終わりから、まだまだ程遠い。そのショーが再び始まると、俺たちは最大のヤバいワンツーパンチのコンボをご馳走されるんだから。
Shineが3人編成での振付によるデビューを飾った。ほんっとに、ただただ息をのまさせられる曲だった。それ以上にどんな言葉で表現できるのかがわからないんだよ。このツアー中、ずっと自分が楽しみにしていた曲が、そこに続く。Arkadiaだ。俺の人生で聴いた中で、最も圧倒的な感情に満ちた曲だ。ああ、そうだ。この曲でも同じように、ほとんど息をする事ができなくなっていた。てか、ほんと参ったよ。「Don't think. Feel.」っていうのは、まさにこの事だ。だって、考える余地が残されていないんだ。何もかもが感情に流されていくんだから。マジで彼女達が自分の心の中に入ってきて、魂を直接揺さぶってくるかのようだ。ずっとこの曲のライブパフォーマンスを、待ち望んできた甲斐があった。
そして、今度こそ彼女達は本当にいなくなる。Suが、俺たちがベストだったと伝える。俺の人生で参加したショーで、間違いなく最高のショーだった。俺が映像を通して見てきたBabymetalのライブの中でも、過去最高の1つだった。ここまで来た事、支払った小銭に至るまで、全てが値するものだった。俺たちを感情のローラーコースターに乗せてくれて、自分が今まで実際に目にしてきた何物とも似つかないような、絶対的なスペクタクルを届けてくれた。俺の評価にバイアスがかかってたわけではないって事を証明しておこう。ショーの後に会った人は、今年始めの横浜アリーナとLegend Mという、2つの大規模ショーにも参加していたんだが、その彼でさえ、そのどちらも今回のショーが超えていたと言っていたんだ。
The Forumはそんな感じだった。とんでもない体験をしたし、とんでもなく楽しい旅行だった。早めに到着したから、ショーの前に、結構な数のファンたちとも交流できたし。Atlantaであったファンや、New Yorkに居た間に会った友達、オンラインで前から語り合ってた人たちとの初対面。他にも今まで知らなかった人たちとの出会いもあったし、このブログや他のネット上の活動で俺の事を知ってくれていた人たちが居たのも興味深かったね。みんなと会えて最高だったし、The Oneとして1つになって、あんなにファンタスティックで素晴らしいショーを一緒に体験できたわけで。Babymetalは、本当に俺たちをMetal Galaxyへの旅に連れていってくれたんだ。
次の機会が今から待ちきれないでいるよ。
その時まで、See You!
ソース:http://cwiddop.blogspot.com/2019/10/babymetal-at-forum-live-review.html
素晴らしい。
返信削除翻訳ありがとうございます。
素晴らしい…❗
返信削除良質な翻訳は彼のエモーションが直接伝わってきます。
返信削除本当に感謝です。
この人がライブ中に何度も涙を流してたと考えるとクスッとなるが・・・
返信削除気持ちは分かる!自分も泣きそうになったことが何度もあるから(笑)
素晴らしいレビューでした。感謝です。
わしも泣く。
返信削除なんでか知らんけど泣くぞ。
なので気持ちはよく分かる。
なんでなんだろうね、あれ。
わしもじゃ。
返信削除おいおい言いながら泣くぞ。
なぜかわからんが。