2019年10月9日水曜日

【PUNKTASTIC】METAL GALAXYアルバム・レビュー



BABYMETAL - METAL GALAXY

Fiachra Johnston著

音楽業界は — 他のあらゆる業界と同様 — 変化している。一般の好みというものが年々異なってきて、ジャンルが出現しては消え、ロックは10年、20年、30年前と同じものではなく、ある時点から私達は皆、そういった事実を受け入れなければならなくなっている。実際、それが意味するところとは。エキサイティングな新しいスタイル、そして音楽で大胆にも異なる事に挑戦しようとする新たに芽吹くアクト達へを体験する好機だ。メタル界にいる批判的否定論者はさておき、音楽の世界におけるBabymetalの存在とは、望まれたものだったのだ。

その東京のアクトは、「アイドル」シンガーであるSu-metal、Moametal、そして従来はYuimetal(昨年ソロキャリアへ進むために脱退)によって形成されており、その直感的ジャンル融合と強烈なライブパフォーマンスが、熟年パフォーマー達に称賛されてきている。そこには「俺たちが共演する90%のバンドよりエネルギッシュ」と讃えたRob Zombieも含まれる。専属ミュージシャンであるKami Band、ライブパフォーマンスにてYuimetalの代理となるダンストリオ「The Avengers」と共に、J-popと様々なメタルジャンルの融合によって名を挙げてきている。この数年で幾つかの苦しい離別をくぐり抜けながら、過去最も強烈に精神に影響を及ぼすアルバムと共に帰還した。

その「Baby」たるJ-pop面の探求が、はるかに過去作より行われており、それはモダンでハッピーなポップスから、音ゲーから抜き取ってきたかのようなシンセラインに至るまで様々だ。1人のパフォーマーが脱退し、20歳と21歳のMoaとSuが今ボーカルを共に担当し、Suがメインボーカルを担い、Moaがバッキングを添え、時に必要とあればScreamする(残念ながらこのアルバムでは最小限だ)。2人は歩みを止めない。両名共に技術的に天賦の才能があるボーカリストで、西洋のメタルアルバムでは普通は聴かれないような、素晴らしく幅広いレンジを聴かせている。

「メタル」側として、Kami Bandは、今作でも地獄のようにハードなギターとドラムで、メインのデュオを支える強烈なバッキングを担っている。今作ではX JapanやB'z(「DA DA DANCE」でギタリストがカメオ登場)のようなオールドスクールなJ-rockに身を乗り出している。コインの両面が、各々のジャンルのクラシック要素へと立ち返る中で、それぞれのスタイルの革新と進化をもたらしている。それはフレッシュなサウンドであり、向上したプロダクションとマスタリングによって、今作は過去からの継続点というより、新たなスタートポイントのようにも感じられる。

Babymetalはその名を融合を通じて挙げてきた。彼女達の従来型の融合であるアイドルとメタルのブレンドを、リードシングル「Starlight」等で聴かせている。その曲は彼女達の仲間であるYuiへの劇的な送別曲だ。彼女達は全力でジャンルを屈曲させ、あらゆるスタイルで実験を試みている。フォークメタル、プログレッシブ・ロック、更にはヴェディック・メタルまでを「Shanti Shanti Shanti」で、取り組んでいる(結果、アルバムでもベストな曲の1つ、かつ最も奇妙かもしれない曲となった)。Babymetalは彼女達のサウンドを可能な限り多くのスタイルに組み込む事に満足しており、結果が本アルバムの音楽的ビュッフェとなっているのだ。最低でも、その中の1曲はリスナーをヘッドバンギングさせる事は確かだ。このブレンドを促進させるのが、相当に高名なカメオ達だ。SabatonのJoakim Brodénはパイレーツ・メタル「Oh! MAJINAI」にゲストとして登場し、PolyphiaのギタリストTIm HensonとScott LePageが、アメリカンプログレッシブ・ロックに影響を受けた「Brand New Day」に力を貸し、スウェーデンのスーパーグループArch EnemyのAlissa White-Gluzが、最もヘヴィーな曲「Distortion」をボーカルで支援する。幾つかの曲は特定のアクトに対するトリビュートかのようにさえ感じられる。クロージングトラックである「Arkadia」は、強烈な咆哮で終わらせる為に、心の中に眠るDragon Forceを霊媒したかのようだ。

多くのゲストと多くの異なるスタイルという多様性が一気に投げつけられてくる事の欠点は、「Metal Galaxy」がGorillazシンドロームに陥っているという点だ。すなわち、これぞ「Babymetalの曲」と呼べるものが少ない。単独のアーティストとしての曲には、未だに従来にも通じるヘヴィネスがあるが、しかし今作はJ-pop側に寄った実験がシンセや打ち込み要素と共になされており、それらは音響的に心地よいものであるものの、アルバム全体を一体とする決定的特徴を欠いている。それら全てによって興味深い融合を見せるアルバムとなっているのだが、まとまりがあるものとはなっていない。

各曲同士が完璧にはフィットしていない一方、Babymetalのパフォーマンスで発露される徹底的な喜びは、その不満点を和らげる。「Metal Galaxy」は途方もなく楽しいアルバムであり、それに魅了されずにはいられないものだ — もしそれが「アイドル・メタル」のスペクタクルに対してでなくても、そこで提供されるテクニカルな腕前とヘッドバンギングさせるリフに対しては魅了されるだろう。Babymetalとは、この業界における一過性の好奇の的で、軽く笑って、次へと目を向けるような対象ではない。彼女達は新しくフレッシュな何かを、この進化を望む業界で提供している。そして彼女達はこれからも、留まり、広まり続けていく。

ソース:http://www.punktastic.com/album-reviews/babymetal-metal-galaxy/

10 件のコメント:

  1. >すなわち、これぞ「Babymetalの曲」と呼べるものが少ない。


    1st 2ndであったようなこれぞっていうメタルらしいリフの曲が一曲あればよかったかもね。
    それでも十分名盤だと思ってるけど。

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  2. そういったベビメタの固定概念をぶっ壊したいからこそ、何でもあり的な面を押し出してきたんじゃないかな?
    メタル色が薄くなったとか言う意見もあるけど、逆にメタル色だして、今回のぶっ飛び加減が弱くなってたら満足してたのかと思うな

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    1. >メタル色をだして...
      それをやったのが2ndでしたよね。
      個人的には3rdや1stほど2ndはヘビロテしなかったから、やっぱりそういうことなんでしょう。

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    2. 自分は2ndから入ったので1stは2ndほどヘビロテしてないですよ。
      1stは子供の声すぎてちょっと・・・

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    3. 1stの声はちょっと抵抗ありますね。
      私も自室のラージSPで鳴らすのはちょっと憚られます。苦笑

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  3. 定義されることから逃れること、
    それがこそが自由なわけで、
    だからこそ、BM的であると思う。

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  4. 翻訳有り難うございます!
    2ndは10回聴いたら後はライブ版やライブDVDばかりだったなぁ
    ベビメタはリード曲を作らなくていいと思う
    1stも1stアルバムにしてベストアルバムと言う売りだったのはこれと言うリード曲以外は添え物という事ではないのを意味してたと思うし、新譜もほぼ全部がリード曲と言えると思います

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  5. 星から星へ旅するかのようなコンセプトだからね
    それぞれテンでバラバラなのはコンセプト通り
    由結がいなくなり、BABYMETALのコンセプト自体が一度崩れ、未だ定まった形を見せていないのと同様なのかもね
    新しい形を探し求めるBABYMETALは、メタルギャラクシーの星々を転々とし、多くの経験を通して次の自分たちの行く末を模索していく
    きっとそう言うメッセージなのだろう

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  6. 上田曲がないから

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  7. これらまだLIVEで発表していない曲がたくさんある中でこの高評価ですからね…
    MIKIKO先生の振り付けとライブでのパフォーマンスを見たら
    概ねすべての曲がさらにワンステージ上へ評価が繰り上がるのもベビメタの醍醐味です。
    過去にもメタ太郎やTOTD、FDTD…。最近ではパパヤも大化けしたそのひとつです
    BBABやBMCのLIVE初披露が待ち遠しいです。。。
    やはり来年のBM10周年かなコバ君…

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