2019年10月10日木曜日

【METAL INJECTION】METAL GALAXYアルバム・レビュー


アルバム・レビュー:BabymetalがMetal Galaxyを征服する

LEON TK著

オンラインに費やす時間が増えると共に、我々はグローバル村の住人である事にも馴染んできている。現実の距離や地政学上の境界はあれど、インターネット上では意味をなさず、進化的創造性が文明の歴史奥深くへと手を伸ばし、文化の境界を侵食している。マッシュアップ文化の隆盛により、Slayerは"Yakety Sax"と、そしてPanteraとDavid Bowieが一体となる。音楽的ビジョンのレフトフィールドに日々晒されている — そしてBabymetalが、最もあり得ないような並列化であっても、商業的成功をおさめられるという事を証明している。

もし君がメタルの事を何も知らなかったとしても、甘いポップスとは、「真のメタルヘッズ」が憎むものの象徴だという事は、充分に分かっているはずだ。正真正銘の才能があるポップスアーティストもいるものの、違いのわからないリスナーをターゲットにした、純粋に商業的目的のみの型通りの曲は、世界中のヘッドバンガー達に究極の冒涜だと捉えられている。神経質な保守派市民は、恐れ知らずにもヘヴィーミュージックへの愛を公言する者へと怒りの目を向け、我々と同種の者の多くは、わずかでもメロディックなものに対して自動的に中指を立てる。

その戦線は何十年もの間、明確に敷かれており、我々の文化の地勢に深く刻み込まれ、あまりにも深く裂けた箇所は何人たりとも渡れぬ程にもなっていた。それは寛容さや、各人にとって親しみのないもの、クールでないものを受け入れる気持ちをも煮詰めさせていた。日本人の女の子達によるトリオ(プロデューサーKey Kobayashiによって13歳未満の時に採用された)が、ダンスを踊りハイピッチな声で歌い、バッキングバンドが懐の深いグルーヴと内臓を引き裂くようなリフで突進するというBabymetalは、最も心を開放した者にとっても挑戦的な提案であり — その事こそが彼女達が成功した要因の大部分を占めている。

日本文化が日本固有の太鼓のビートに合わせて行進しはじめた事に続き、Babymetalは当然のように著しい成功を収め、より大人数の集団であるSakura Gakuinの一部として出現して以来、母国で高く評価されてきていた。バンド名を冠したデビューアルバムが2014年に発売された時、そのトリオは既に東京の武道館を二夜完売できるほどに大きくなっていた — しかし彼女達は海外の地では混在した反応と直面する事になる。

Babymetalの型破りな存在と初期バイラルヒット「Gimme Chocolate!!」により、多数のファンを勝ち得ていたが、直感的に一時的流行だと片付けられてもいた。ファンとヘイターは即座にディベートを開始していたが、バンド自身が止められぬ勢いを見せる事で、その議論熱は段々と収まっていく。

Babymetalの成果リストは控え目に言っても恐るべきものだ。MetallicaからJudas Priest、Slayer、Dragonforceに受け入れられ、称賛され、2016年のアルバムMetal Resistanceは大西洋の両側のチャート上で急上昇し、さらには周知のとおりプロモーターのAndy Coppingがステージに上がる事は決してないと断言していたにも関わらず、イギリスのDownload Festivalにも出演した。純粋主義者達は、そのキーボードを前にした背後から撃たれ続けてきたのかもしれないが、Babymetalは弱小グループを卒業し、全てを制覇したスーパースターとなった — そして反乱軍はただちに勢いを失ったのだ。

Babymetalが、深みもなく、金を掴みとる為のプロジェクトとして構成されていたなら、今に至っては落ちぶれていただろう。むしろKobayashiのチームは、バンドの核である「Kawaii Metal」スタイルに、Hip Hop、レゲエ、ダブステップ、スカ等の多種多様な影響を注入し続けていた。Babymetalの後ろに控える知性は、長期的ビジョンで、そのグループに成功に至る最良の可能性を与えてきており、それが報われたのだ。Metal Galaxyも、入念に計算され、慎重に組み上げられた未来へのステップだ。

Babymetalの過去作を数曲聴けば、彼女達が提案できる全てがそこにあると想像する事は容易い。しかしMetal Galaxyはサプライズに満ちている。アルバムから事前にカットされたシングルで、タイラップ(「Pa Pa Ya!!」)、そして古典インド音楽(「Shanti Shanti Shanti」)等、既に世界中からの影響を見せていた。しかし、それで終わりではない。「Night Night Burn!」ではラテンセクションとアコースティックギターを包含し、「Kagerou」はBring Me The Horizonのヴァイブを誇らしげに見せ、「Starlight」ではブルータルなジェントによる暴動を見せ、PolyphiaのTim HensonとScott LePageによる刻まれたリフ、ジャジーなコード、そしてファンキーなリズムが「Brand New Day」を傑出した曲にする。

Babymetalはポジティブかつタイムリーな地球的結束というメッセージを過去作以上に奨励している。彼女達の音楽を愛する事も憎む事もできるが、そこに火を付ける感情とクリエイティブな力は誰にも止める事はできない。

スコア:9.5/10

ソース:https://metalinjection.net/reviews/babymetal-metal-galaxy

5 件のコメント:

  1. 名盤確定?!納得ですね!!

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  2. 翻訳有り難うございます!!
    metal injectionが9.5!
    もう絶賛ですね感慨深い

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  3. 「みんなが格闘技に走るので、私、プロレスを独占させていただきます」
    メタルファンには昭和プロレスが好きな人が多いので分かって貰えるかも

    メタルがメタルである為にその真理を追求しようとした結果
    どんどん贅肉を削ぎ落とし、サブジャンルを作って形式をスリム化した。
    でも、よく見るとその贅肉の部分にこそ、その猥雑さと楽しさがあり
    それこそがエンタメであり興味をもつに足りる魅力があることに
    気づいた人たちがいた、ということだと思うのです。
    だからそのオイシイ部分をベビメタは独占させて頂きます、という宣言。
    そういう解釈も楽しいと思う。

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  4. いい表現ですね。
    Su-METAL/MOAMETALを演じると本人たちも言っているし、メタな存在、架空の存在としてのBABYMETALを演じショーをやると解っていると、ベビメタはより楽しく受け止めることができると思うのです。
    そういう点はまさにプロレスですね。

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