コンサートレビュー:BABYMETAL
人々の注目を持続させるため、音楽的ショーマンシップで3つの鍵となる要素を活用しているのだ。物語性、止むことのないビジュアル、そして最も重要なのが、振付られたダンスだ。
MICK JACOBS著The Forum, Inglewood, CA
2019年10月11日
2010年代に音楽シーンに起きた事で1つ確かな事とは、ジャンルが構成されにくくなった事だ。タッチスクリーンの先にある世界で育ったジェネレーションZは、カテゴリーの境界について余り気にする事はない。Kate Bush、Missy Elliott、そして坂本龍一を含むプレイリストを読み込み、それらが噛み合ったものなのかどうかと驚いたりしないのだ。ごく自然に、そのような障壁が崩壊し、アーティスト達は過去類を見ないほどに、ギャップに橋を架けはじめたのだ。
この現象を、日本人Kawaii MetalグループBabymetalは、音楽とパフォーマンスの両面に込めている。彼女達のカタログを通読してみると、そこにはJ-Pop、シンフォニックメタル、更にはDrum 'n' Bassまである。入り組み過ぎに思えるかもしれないが、間違いなくそうだが、この混み合ったサウンドは人々の現在のテイストに合うだけでなく、集中力の持続時間にも合っている。2019年のせわしなく進むタイムラインを、自身の優位とする方法をBabymetalは解読した。人々の注目を持続させるため、音楽的ショーマンシップで3つの鍵となる要素を活用しているのだ。物語性、止むことのないビジュアル、そして最も重要なのが、振付られたダンスだ。
宇宙。ここで表示される宇宙は、ソニックアドベンチャー2バトルの最終面とも共通項があるもので、背景となりショーの空気を形成し、恒星系と鮮やかな星雲の中、「光のフォースと闇のフォースの戦い」が展開される。「考えるな。感じろ。」ナレーションが更に命じると、観客には備える間もなく「DA DA Dance」が襲来。ゴシックで、クローム光りするアイリッシュ・ダンス衣装に身を包んだBabymetal。3人組だった彼女達は今はデュオだが、昨年バンドを離れたYuimetalの代わりとなるバックアップダンサーを使う事で、トリオでの表現をし、さらなる戦いへと備えている様子で、ダンスバトルへと挑むのだ。
Perfume風メロディとNightwishばりの作曲の対比は、Babymetalの裏に流れる破壊分子としてのメッセージの為のものだ。「Megitsune」のような曲では、悪戯好きな動物の精霊を宿した女性を描写し、バンドの可愛い「Fox」ハンドサインで遊びながらも、同時に聡明で力強いKitsuneの伝説にも言及している。ゴチャ混ぜのように思えるものも、その輝く衣装や可愛い顔の先で、解釈と真意の万華鏡が伝えられているのだ。続く「Elevator Girl」はPendulum的イントロで始まり、Dragonforceのような曲へと展開。女の子の優先順位が激的に変化する事を描写したシンプルなメタファーだ。端的に言えば、それは想像以上に複雑なもので、書き記しておくべきものでもある。
4曲目の「Shanti Shanti Shanti」では中東のパーカッションとストリングスが披露され、今夜は何が起こってもおかしくないという気持ちにさせる。確かに、この事によってショーの特定の側面に集中する事が難しくもなっている。ある者がレーザーライトのショーに飲まれる中で、フロアにはパイロテクニクスが起こり・・・待てよ。GAフロアにはモッシュピットが3つも出来ているのか?だが、そういったランダムにも見えるあらゆる要素がBabymetalを体験する上で不可欠なのだ。バンドや女の子達だけではなく、万華鏡のようになった要素が、ポジティブさの大渦巻を作り上げているのだ。過剰にも思えるかもしれないが、それはいわゆるメタルパフォーマンスや、ハイバリューなポップスのプロダクションと変わりないものだ。事実、スクリーモ・ラッパーのF.Heroが「PA PA YA!!」で吠え始めると、デスメタル・シナリオのように感じられたのだから。
マスクを着用した演奏家達を認識しない怠慢な者もいるかもしれないが、彼らがメインの3名と同じくらいに欠かせない役割を担っているのだ。「Kagerou」のイントロにて、各プレイヤーが、それぞれのリフやペダルさばきを見せる機会を得る。彼らが裏側で支えている頑強さによって、3人のボーカリスト達は、生のダンス、そして多くの感嘆させる瞬間を含むエンターテイメントを届けられているのだ。マイクスタンドというディスコ・スティックを握るリードボーカリストのSu-Metalは、とりわけ「Karate」のフィナーレにおいて、高みを見せていた。
その夜を静寂へと帰すよう、ショーを終えると見えたその時、KLF的瞬間が到来。短いながらも耳をつんざく花火が炸裂する。実際のフィナーレへと観客の注意を向ける衝撃を与えたのだ。それは2019年のMetal Galaxyの最後のトラック群によるアンコール。その2曲は、各々異なる理由にてBabymetalによる超越への推移を表す楽曲だ。ドラマチックなシンフォニックサウンドや打ち鳴らされるドラムではなく、「Shine」はシンガーソングライター的ギターで始まる。嵐のような他の曲の中、その曲は荒涼としていながらも、心地よい別の景色を見せてくれる。「Arkadia」は、私たちにとって馴染みがあり、愛してきたKawaii Metalの猛烈さへと戻り、天国のようなコーラスの最中、曲を終える。この夜、CaliforniaのInglewoodにて、観客の反応、そして彼女達のショーマンシップから見るに、Babymetalのミッションは成功に終わったようだ。
単純に幕が下りる他のショーとは異なり、このバンドはMetal Galaxy World Tourでの、ここまでの日程のクレジットリールで完結させる。この夜みた多くの要素と同様に、この事も目撃したものの映画的感触を高めている。Babymetalは世界中で非常に多くのミッションを完遂してきているが、ゴールを迎えたと言えてはいない。全世界が、いや、全宇宙がBabymetalと同調した時にこそ、彼女達の設定したミッションがついに完了するのだ。そこに至るまで、障壁を壊し続けていく。都市を1つずつ、ジャンルを1つずつ。
ソース:https://spectrumculture.com/2019/10/13/concert-review-babymetal/
Ma-Metalさん情報提供ありがとうございました
BABYMETALとはBABYMETALを表現しつつ壊しつづける存在なのかもしれないですね。
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