2019年8月8日木曜日

【KEEDAN】BABYMETALインタビュー「新世代にヘヴィーメタルを伝える」

台湾メディア「KEEDAN」によるSUPER SLIPPAライブレポート&BABYMETALインタビュー記事です。流石、台湾。MIKIKO先生についてのインタビュー等もあり、非常にクオリティの高い記事です。

「ヘヴィーメタル」と聞いて頭に浮かぶものはなんだろうか?あなたの印象とは?怒れる咆哮、メロイックサイン、猛烈な速弾き、高速ドラミング、破壊的、爆発、そして心拍数を高める緊張感。ヘヴィーメタルとは個性を信念とし、反権力であり、多様な見せ方を包有したジャンルだ。しかしながら、ある新たなグループがスラッシュメタル、メロディックメタル、パワーメタル、デスメタル、そして様々なメタルのサブジャンルを融合させ、その境界を壊したのだ。日本を象徴するアイドル文化と超テクニカルバンドの融合。Kawaiiを表す「BABY」と「METAL」のパワーとの融合。BABYMETALは独自のサブジャンル「Kawaii Metal」を定義したのみならず、ヘヴィーメタルアイドルという全く新たなシーンを創り出したのだ。それはSam Dunnによる2005年のドキュメンタリー「Metal: A Headbanger's Journey」の一節、「ヘヴィーメタルとは文化や国の背景を越えてファンを一体とするものだ」を思い起こさせる。BABYMETALの融合したスタイルはハードコアなメタルヘッド達に深い感銘を与え、アイドルやダンスミュージック愛好家にも全く新しいタイプの燃料を投下したのだ。完全に異なるシーンのファン達が同じ場所で共にライブを楽しむことができる。BABYMETALはヘヴィーメタルはこのように表現する事もできるのだ、という事を世界へと示したのだ。
江戸時代の民謡「さくらさくら」が導入となり、そのメロディが急転し激しく高まる。SUPER STAGEのファン達は長年待ち望んでいたライブを崇拝するかのような期待で待つ。狐様によって召喚され、世界征服の一役を買ったKami BandメンバーはギタリストのTakayoshi Ohmura、Yusuke Hiraga、ベーシストのBOH、そしてドラマーのHideki Aoyamaだ。さくら学院からは新たなアベンジャーMomoko Okazakiが加わり、SU-METALとMOAMETALは「メギツネ」、「Gimme Chocolate!」、そして大人気ニューシングル「PA PA YA!」から黒き旗を振る「Road of Resistance」と続くノンストップのパフォーマンスで観客を興奮させる。「We Are」のシャウトによるコール&レスポンスというX Japanへのオマージュが皆を燃え立たせ、ライブ終演後にはサプライズ告知映像がファン達を喜びで満たし、2020年をはやる思いで待望する気持ちにさせるのであった。

「METAL GALAXY」はKawaii Metalの新たな進化の表現

2014年の「BABYMETAL」、2016年の「METAL RESISTANCE」に続く「METAL GALAXY」というニューアルバムが今年10月にメタル界を制圧する。そのニューアルバムはKawaii Metalの進化を提示するものと言われており、Kawaii Metalというサブジャンルの完成形がどのようなものになるのか、私達は興味津々である。MOAMETALが語る。「私達にとってKawaii Metalとは、たくさんの様々な場所で得た刺激や経験が一体になったものなんです。だからKawaii Metalの完成形についてはわからないのですが、これからも進化しつづけていく事は確かです。最新型のニューアルバムによるサプライズに期待していてください。」Super Slippaでのライブで確かにファン達は、新曲のエキゾチックで豊かな風味を少し味わう事ができた。「おねだり大作戦」を進化系である、BABYMETAL史上初となるフィーチャリングで著名タイ人ラッパーF. HEROを迎えた「PA PA YA!!」は究極にキャッチーで耳から離れることはない。彼女達の征服を拡大せんとするBABYMETALの素晴らしき野心は、そのライブに一貫して表れていた。

BABYMETALにとってMETALLICAとはメタルの世界の神である

2010年に「ドキドキモーニング」が世界中の音楽ファンの目を見開かせ、2012年には過去最年少グループとしてSummer Sonicに参加し、2014年にはMETAL RESISTANCEによって日本人として53年ぶりにアメリカBilboardチャートに食い込み、平均14.7歳という武道館ライブ史上最も若い女性アーティストという記録も打ち立て、本年にはグラストンベリーのメインステージに立った初の日本人グループとなった。彼女達を認め、オープニングの機会を与えるのは世界クラスのミュージシャン達。Metallica、Lady Gaga、RHCP、Guns N Roses。彼らとの交流を通じて最も記憶に残る経験を聞いてみた。SU-METALは興奮した様子で「私達は本当に最初の頃からMETALLICAに影響を受けてきたんです。私達にとってMETALLICAの存在っていうのはヘヴィーメタルの世界の神みたいなものなんですね。初めてライブを見て学んだ体験は現実を超越していて、それはただ聴いたり見たりしてるってだけじゃなくて、私達の心に直接訴えかけてくるものだったんです。ヘヴィーメタルとは何なのかを伝えてくれて、メタルの道を進むっていうのはとても有意義で意味のある事なんだって強く感じさせてくれたんです。2013年にはMETALLICAはSummer Sonicのライブを見に来てもくださって、写真も一緒に撮ってもらえたんです。後に、光栄にもオープニングゲストとして呼んでいただけて、その事は今でも忘れられない思い出です。」と語った。誰かコラボレーションしたい相手がいるかと聞いたところ、SU-METALは最近GLAYともコラボレーションしていたMAYDAYと将来コラボレーションできれば、と興味を示した。

BABYMETALの歌詞をMIKIKOが振付でビジュアライズ

「Perfume 4人目のメンバー」としても知られる著名コレオグラファーMikiko Mizunoによって、常にBABYMETALの振付は作られてきた。2010年、BABYMETAL伝説の始まりから、METAL RESISTANCEの全てのエピソードに彼女は参加してきたのだ。ASHの講師として現・Perfumeとなる小学生時代のかしゆか、あーちゃん、のっちを教えており、また彼女は著名シンガーである椎名林檎、DAOKO、そして星野源のコレオグラファーでもある。2016年リオ・オリンピックの閉会式での驚異的な作品によって彼女のMikikoスタイルは世界へと更に知られる事となった。2016年、格闘技的振付のPerfumeの「FLASH」、そしてBABYMETALの「KARATE」が各ファンに愛された。デュオにとってMikiko先生とは、と尋ねてみたところ、MOAMETALは「Mikiko先生は振付と曲のユニゾンを重要視されるんです。」テーマに合ったダンスを作られるんですね。そのダンスがメロディとテンポに合っているだけじゃなくて、歌詞の意味を表現しているんです。私が一番感動したのは『メギツネ』で、日本の伝統と狐様のコンセプトを同時に伝えるものだったんです。先生の振付によって、日本文化の繊細で神秘的な側面が海外のファンにも見せられているんです。」と語った。「五感に伝わる振付を作る」というMikikoのモットーにより、BABYMETALの歌詞はビジュアライズされ、その醍醐味が丁寧に伝わるのだ。

BABYMETALが新世代にヘヴィーメタルとは何なのかを伝える

豊かな振付がありつつ、その音楽こそBABYMETALファンが最も注目するところである事は疑いようもない。ヘヴィーメタルを歌う上でのチャレンジについて、SU-METALはBABYMETALを通じてメタルの様々な面を学んでいると述べた。「音楽とは自分を表現する方法として魔法のようなものです。ヘヴィーメタルが、色々な要素によって本当に違ったスタイルの音楽を作り上げられる事に驚きました。私達のお客さんもそれぞれの曲でそれぞれ違ったように感じたり反応したりしてくださるので、もっと色んなスタイルを作っていきたいなって思います。」世界中で出会ってきたファンについての最も印象的な思い出を尋ねると、SU-METALは「国が変わるとファンの反応も本当に変わるんです。最も印象的だったのはGimme Chocolateの最中ですね。結構可愛い振付の部分があるんですけど、私達と一緒になっておじさん[訳注:台湾でも「おじさん」という表現が使われているようです]も踊ってくれていて。他の曲でもそうなんですけど、ライブをやる場所によってファンの皆さんは予想もしなかった形で反応してくれるので、本当に興味深いですし、こういう音楽で生のお客さんとインタラクトできるのはびっくりです。」と語った。
10代を終え、20代に入り大人の一員となる事について聞くと、MOAMETALは10代から20代への移り変わりについては自然なプロセスで、これからも音楽、ファン、そしてBABYMETALと10代の時と変わらずにやっていくと述べた。一方でSU-METALは以下のように語り、私達を驚かせた。「最初からKawaii Metalをやってきたので、10代の時は子どもが音楽で遊んでいるようなものだったんですね。それが後に私達に続く若いミュージシャンが次々に出てきたので、BABYMETALは新世代にとってヘヴィーメタルの導入になれているんです。」狐様の導きよりBABYMETALはメインストリームのアイドル音楽にヘヴィーメタルで対抗し、ライブパフォーマンスによる制圧を続け、ファン達を魅惑し圧倒し続けるのだ。

狐様は2020年4月3日に本格的に降臨する

インタビューを終える前に、多くのファンも気になっている2018年に設立された「Babymetal Records」についての情報を尋ねてみた。MOAMETALが珍しくも中国語で「只有狐神知道(Only The Fox God Knows)」と返し、これからの展開を興味深くも暗示
した。台北ライブ後、BABYMETALはSummer Sonic 2019へ出演し、9月にはニューアルバム「METAL GALAXY」ワールドツアーが始まる。最も重要な事として2020年4月3日にBABYMETALはアジアツアーの一公演として台湾初のヘッドラインライブで帰還する。君がこのカルトの一員であろうとなかろうと、そのKawaii MetalコンセプトというBABYMETAL独自のスタイルは世界をロックし続けるのだ。
setlist@BABYMETAL in 2019 SuperSlipper
2019.08.04 台北南港展覽館
01. Megitsune
02. Gimme Chocolate!
03. PA PA YA!
04. Elevator Girl
05. 新曲
06. Distortion
07. KARATE
08. Road of Resistance

ソース:https://keedan.com/track/2019/08/06/keedan-special-interview-with-babymetal/
英訳ソース:https://www.reddit.com/r/BABYMETAL/comments/cnd8ke/translated_keedan_interview_with_babymetal_chinese/


2 件のコメント:

  1. 大変興味深い記事で、元記事のライターさんの熱量を感じました。
    やはり、ただフェスに参加するだけでなく、広報活動もしっかりこなしていたんですね。
    ホンヤクメタルさんの翻訳はいつも洗練されていてクオリティが高いので、いつも感動しています。そして、すうさんやもあちゃんのコメントは、彼女達の話し方の特徴までしっかり反映されていて、最初から日本語のインタビュー記事と思えるくらい自然で素晴らしいです。
    これからも無理のない範囲で翻訳をお願いします。

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  2. 翻訳、レベル高いです。理解度がまさにメイトの鑑ですね
    ありがたいです。海外でのインタビューを把握しておくのは必須なので

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