2019年10月6日日曜日

【RIFF magazine】San Francisco/The Warfield ライブレビュー


レビュー:Babymetalが視覚的スペクタクルショーでThe Warfieldをロックする

Daniel J. Willis著

SAN FRANCISCO — コンサートの観客が同種の人々になりがちなこの時代において、BabymetalはThe Warfield史上最も多様な観客を集めていたかもしれない。
人種的な多様さも含まれている事は間違いないが、多様性という意味での多様さがあったのだ。60代の夫婦もいれば、父親と一緒の10歳の女の子もいる。アニメのTシャツを着た10代もいれば、ボロボロのMisfitsのパーカーを着たパンクロッカーもいる。サッカージャージを着た10代の男の子がヘッドバンギングしている最中、その彼の後ろでは中年の母親があらゆる歌詞を合唱している。メタルヘッズの中にすら多様性がある。初期GhostやGojiraのシャツを着た男たちと、着古されたデニムベストにPanteraとMotorheadのパッチをつけた男達と並んでいるのだ。

同じ場所にいることを予想だにしないような人々が一体となっている事も、Babymetalが音楽的に予想だにしないようなものを一体としている事を鑑みれば道理にかなっている。

知識が十分でない者に説明しよう。Babymetalとは、典型的J-popスタイルで歌い、タイトに振り付けられたダンスを踊るSU-METALとMOAMETALから成り、マスクを着けたヘビーメタルミュージシャン達によるKami Bandによってバックアップされている。しかしその甘ったるいポップスのボーカルとヘヴィーメタルの演奏が完璧に共栄しているのだ。それは、そこに関わっている男性、女性、どちらも多大なるスキルを持ち合わせているからに他ならない。
それぞれのパーツが完璧に分離されているというわけではない。リードシンガーのSU-METALはメタルバンドのフロントウーマンに望むべき威光を携えており、Kami Bandが繰り出すヘヴィーなパワー・メタルグルーヴと燃え上がるメタルフリフの底には、J-popの感覚が内在している事を暗示している。
そのショーはナレーターによる低音ボイスが轟きはじまる。「Fox Godの名のもとに、Babymetalセンセーションは世界中へと広まり続けていく。ヘッドバンギングの準備はできているか?メタルレジスタンスの始まりだ。」これは友達に連れてこられていて、何を見に来ているのかに無自覚だった人々を、非常に困惑させていたようだ。しかしながらオープニングソング「Megitsune」が始まると、あらゆる不安感が消失する。タイトにプロデュースされた視覚的スペクタクルに満ちたショーへとただちにバンドが飛び込むと、成層圏へと突き抜けるレベルのエネルギーが始まりから終わりまで保たれつづけた。

その美学によってか、言語の壁によってなのか、曲間に気さくに話すようなパートはない。曲が終わると場が暗闇につつまれ、次の曲に向けて全員がリセットする。それもうまく機能しているのだ。とりわけ次の曲である猛烈なパワー・メタルリフからなる「Elevator Girl」へと続く時や、燃えるギターソロが続く「Shanti Shanti Shanti」において顕著だ。
Kami Bandのミュージシャン達が匿名でマスクを着けられている事はもったいなくも感じられる。彼らの貢献は認められるべきものだ。しかしGhostのNameless Ghoulsのように、匿名性もバンドの神秘性の一部なのだ。

テクノ・サイケデリック的なビデオインターリュードがバンドメンバーに息をつかせる機会を与え、ほぼ間違いなく彼女達による最大のヒット作である「Gimme Chocolate!!」が発射される。
その曲によってバイラルで名を挙げた事がBabymetalをアメリカでの成功へと放った要因だ。ショーの中で最大の反応があった事にも驚きはない。しかし驚かされた事は、なんとも多くの観客がその振付を覚えているという事実だ。

ヒット曲「KARATE」を含む数曲を経て、ショー全体でも際立つ曲の時間に至る。「The One」は英語によるバラードで、録音済のピアノと共にステージに1人で立つSU-METALによって歌われる。それは美しく遂行され、彼女の声の素晴らしさを観客に明示する。タイトにコントロールされ、高度なエンターテイメント・カオスだったショー全体の中で、その剥き出しの状態が突出していたのだ。
その平穏も長くは続かず、最後の曲である「Road of Resistance」と長いシンガロング・セグメントで再び嵐が舞い戻った。
[後略]

このレビューを執筆したライターのライブ中とその後のツイートが興味深いです。

まだTwitter断ちしてるんだけどさ。今BABYMETALのライブに来てて、隣にいる10歳の女の子がAvatarでノリノリだったんだ。
「君の年の頃にはAlice Cooperに夢中だったよ」って言ったら、「悪くないよね。でも私もっとハードなのが好きなの」
俺もこの子くらいクールだったらなって思うよ。


その子、モッシュピットに行かせてくれってお父さんを説得しようとしてる。彼女は俺にとっての新たなヒーローかもしれない。


ショーは言葉では言い表せない程に素晴らしかった。という事は俺にとっては問題だ。言葉に表す事そのものが俺の仕事だから。


これは昨夜のBABYMETALショーのレビューだ。絶対的なトリップだったし、それに惚れ込んだよ。でもさ。それはレビューを書くのが本当に難しい類のものだったんだ。

ソース:http://www.riffmagazine.com/reviews/babymetal-20191004/

1 件のコメント: