2019年7月28日日曜日
F. Heroロングインタビュー Instagramポストの背景を語る
タイメディアによるF. Heroインタビュー記事。BABYMETALファンの間でバズったInstagramポストの内容を更に詳細にバックグラウンドを含めて語った興味深い内容です。
Q. BABYMETALと仕事をする事になった経緯を教えてもらえますか?
BABYMETAL創始者でありプロデューサーのMr. Key Kobayashiがコラボレーションしたいから会いたい、というメールをくれた事から全ては始まった。[中略]レーベルのマネージャーらしきMr. Takeshi Motekiに会った。彼自身が出向いてくれて話したんだ。彼(もしくは彼ら)がタイでバケーションを過ごしたのが本当に楽しかったので、PAPAYAについての曲を作りたいってなったんだ。PAPAYAって聞いた時には、どうやって作るんだろうと思っていた。PAPAYAについての曲の作り方なんて考えたこともない。デモをかけてくれると、PAPAYA PAPAYAっていうヴァースがあったので、PAPAYAサラダについての曲を作りたいんだなって理解した。彼らもYESと答えた。スパイシー、そして夏についての曲を作りたいって言ったんだ。タイハープを加えるっていう提案をしたところ、彼らがそのアイデアを受け入れてくれたんだ。
Q. なぜあなたを選んだのか理由を伝えられましたか?
彼らは曲の制作中にタイラッパーの事も探していたんだ。数多くのラップを聴いた中で僕の声を気に入ったと言ってくれていた。もう1つの理由は僕のキャラクターだね。彼らはBABYMETALと良いコントラストになるって思ったんだよ(笑)。
コラボレーションについて聞いて、本当にエキサイトしてたよ。BABYMETALはちょっとしか聴いたことがなくて、ハードコアなファンだったってわけじゃない。もちろん有名だから知っていたし、Catch Me If You Canの奇妙さが好きだった。その曲にグロウルが使われていたから、最初はそのボーカリストの代わりをさせたいのかと思っていたんだけど、他の曲を聴いてみると全ての曲でグロウルが使われているわけではなかった。
Q. 彼らと仕事をする上でのチャレンジは?
僕たちは一度しか会っていなくて、主にLINEでコミュニケーションしていた。多くの承認プロセスを経る必要があったから、動きは相当遅かったけど、レコーディングスタジオに入ってからは本当に順調だった。彼らに送ったライムでは、すり鉢をドンドン、ポクポクしている感じを表現したかったんだ。彼らは気に入ってくれると思ってた。でも理解してもらえるのか?って思っていたけど、彼らは一切なにも変更を加えることもなく、良いねって言ってくれたんだ。Magが生楽器パートを彼らに送ると、それも何も修正しなかった。彼らがレコーディングの指揮をとるためにスタジオに来てくれて、僕たちはまた会ったんだ。1回の録音で終了。全てはスムーズに進んだし、彼らが僕たちのアイデアを本当にリスペクトしてくれてるって感じたね。
仕事自体は順調だったけど、最も困難だったのは(ネット上の)攻撃だ。ずっと僕はバンドに(グロウル担当の)男性ボーカリストもいるって思ってたんだけど、実際メインメンバーは3人の女の子だけで、その中の1人が脱退した直後だった。ファンはニューアルバムがどんなものになるのか、本当に興味津々だったんだ。
曲はライブの日、6月28日のリリースとして計画されていた。全てが機密だった。バケーションの為に数日前に僕と妻は日本に到着していたんだけど、ステージで僕を披露する為にその間の写真投稿を一切禁じられたほどだった。しかし曲が発売数日前にリークされ、全世界が聴くことになり、彼らは「この男が[訳注: 脱退した]メンバーの代わりなのか?」と疑問を持ったんだ。
Q. BABYMETALとコラボレーションをはじめてから、反応について懸念はありましたか?
心配はしていなかったよ。これほどのネガティブな反応が返ってくるとは思っていなかった。言ったように、彼女達の事は知っていたけどハードコアなファンだったわけじゃないから、彼女達のファンがかなり強烈だって事も知らなかった。後に自分で追ってみて知ったのは、多少Wota[訳注: ヲタ。外来語として英語圏やアジア圏で、特に日本好きの間で使われています]もいるもののWotaだけでなくメタルヘッズもいるって事がわかった。
Q. そしてネガティブな反応が起こりましたが、ソーシャルメディアのヘイトスピーチはどのような批判でしたか?
最初は気にしてなかったんだ。この仕事をしているとポジティブ、ネガティブ両方のコメントがある事は普通だからね。ネガティブなものばかりに注意を払ってられない。Facebookにも幾つかあったけど、読まないようにしてたんだよ。
でもTwitterに物凄い数のヘイトがあった。彼らは僕の事を「BABYMETALの曲を台無しにした男」と呼び、ハッシュタグを作り、僕の画像を加工して「良い曲だな。俺が全部台無しにしてやろう。」なんて言ってるmeme[訳注:ネタ画像]を作ったりしてた。Twitterを見てる内に「うわ。これ程なのか?」って思い始めたし、それは本当に色んな言語で書かれてたんだ。もしそれがタイ語だったなら、投稿者の未成熟さを反映したものだって理解できたかもしれないけど、様々な言語でのネガティブな反応を今まで見たことがなかったから、自分自身を疑いはじめてしまったんだ。自分の国で人が文句を言ってくる事は普通にあるけれども、自分が曲にタイ語を持ち込んで、その結果として多くに国々からネガティブな反応が返ってくるという事は、自分は適していなかったんじゃないだろうかって疑問を抱きはじめたんだ。僕には悪いイメージがあるのか?僕のスタイルは世界には通じないのか?それとも僕は下手くそなのか?だってTwitterの98%はラップパートが無ければ良い曲だって言ってるぞ、ってね。
それと自分の国を代表する人間にはふさわしくないんじゃないかって事も思った。英語のわかる誰かの方がいいのか?英語なんて僕はさっぱりわからない。僕の英語力は酷いもんだ。
Q. 横浜アリーナ出演キャンセルについては本当にそうしようと思っていたのですか?その結果については考えましたか?
僕が立つべきじゃないって事だけを考えていたんだ。自分の国を見下されるのはもうたくさんだった。多くが「これがタイラップ?こんな程度なの?」って言ってた。誰か他の人がやった方が良いって思っていたんだ。自分には値しないって感じていた。もし自分がステージに立つ事で、人々が自分の国を見下すのならやらない方が良いのでは?自分では良いと思っていたクソなスキルのせいで、自分の国を辱めてるのでは?そんな事だけしか考えられなかった。What the Duckレーベルの自分のボスであるMovとBallに相談してみたんだけど、そんな事は気にするんじゃないって言われた。でもとにかく、日本のチームにはキャンセルするとは言わなかったよ。
Q. あなたを勇気づけてくれたのはStampだったんですよね。その事について教えてもらえますか?
StampはBABYMETALと同じレーベル(Toy's Factory)に所属してるから、話してみようって思ったんだ。このような状況でレーベルはどう動くだろうって聞いてみた。Stampは君を選んでくれた人の事だけを気にかけておけばいいって言った。日本人は本当に入念に計画をするから、適当な決定なんて下さない。もしそれが巨大なプロジェクトであったとしても、彼らが上手くいかないと思えば、初期段階ですぐに終了させる。彼らが選んでくれたんだから、僕はそのまま進める事に決めたんだ。
振り返ってみると彼らがいかに僕を受け入れてくれていたかが思い出された。受け入れなければならないわけでもないのに、僕のアイデアを受け入れてくれた。彼らはタイ民謡とタイの楽器について学び、彼らのアイデアを僕たちと交換してくれ、共同で作業を進めてくれた。僕の事を本当にリスペクトしていてくれたから、ネガティブな反応があっても進む事にしたんだ。
横浜にはBallとMovと一緒に行った。2人が彼[訳注: タイ語原文では男性・女性、単数・複数どちらとも取れる表現が使われています]とコミュニケーションするのを手伝ってくれて、ラップと僕の事をいかに皆が嫌っているかを彼に伝えてくれた。彼は笑って「普通だよ。なんてことない。」って言ったんだ(笑)。その会話の後に思ったんだ。BABYMETALを彼が始めた時、僕以上にひどい状況と向き合ってきたんだろう。彼らのやった事はアイドルとメタルを混ぜるという、常識外の事だったんだから。メタルヘッズは嫌っていたけど、好きにさせるまで、世界が受け入れるまで戦い続けてたんだ。その初期においては、自分が受けたようなネガティブさと常に付き合ってきていたんだ。だからMr. Keyに「観衆がどう思うかはわからない。でも僕を選んでくれてありがとう。今日はベストを尽くすよ。」って伝えたんだ。
Q. ライブ前にMr. Keyが「You are my pride」と伝えてくれた時、その言葉で恐怖から解放されましたか?
彼が力をくれたかのようだった。僕が恐怖している事はわかっていてくれた。ステージへと向かう準備はできていたけど、まだ恐れていた。「もし僕が失敗して、みんなが靴を投げつけてきたら?」「ブーイングがはじまったらどうするべきなんだろう」なんて不安でいっぱいだった。
彼らがサウンドチェックをしている最中、自分のイヤモニをつけた。「ここで待機して、そこに登ってください。台があがりはじめたらラップをしはじめてください。」って言われた。こんなに上手いバンドはリハーサルを重ねまくるはずだって思ってたんだ。初めてのリハーサルで、ステージへと上っていきラップして、ラップして、そして降りた。もう一回と言われて、ラップして、ラップして、降りると、終わりですって言われたんだよ。ええええ?それだけ?マジで?今ので終わり???彼らは、以上です、って。もう降りていいですよ、って(笑)。クソ。やっちまった。怖い。このステージに上がるまで、あと3時間しかない。怖い。怖い。自分の楽屋にいても怖い、怖い、怖い。リハーサル、リハーサル、リハーサルって(笑)。
彼が僕が心配しているのに気づいてくれたんだと思う。ライブ前に僕がBABYMETALの女の子達と写真をとった後に、彼が僕のところにきて「You are my pride」って言ってくれたんだ。BABYMETALを作った男が僕を選んでくれた。父が、娘たちと歌う相手として僕を選んでくれたんだ。バンドが僕を選んでくれた。日本人スタッフチームが僕を選んでくれた。だから僕は「よし。ブーイングしたいならすればいい。憎みたいのなら憎むがいい!」って思えたんだ。
Q. MVを見ると熱狂状態です。ステージから見ていかがでしたか?
その日ステージ上にいたのは2分間だけだったけど、それは自分にとってとても長い2分間だった。自分の目前は本当に熱狂の渦だった。観客が本当に楽しんでいるのがわかって、自分自身も楽しめたよ。ステージから降りると、ジェットコースターに乗った後のようだった。心拍数が本当にあがっていたよ。そしてトイレにいって吐いた。ラップの為に注いだというのではなく、全てのエネルギーを使い果たしていたんだ。ステージで抱えていた恐れのせいでね。だからステージから降りると吐いてしまった。でもそれから日本語での支持コメントが届きはじめた。自分のガイドがそれを翻訳して伝えてくれた。みんなが気にいってくれたってわかって、2日目はもっと和らいだ気持ちではじめられて、全ては問題なく進んだよ。
2日目の後にはネガティブなコメントは、ほぼほぼなくなっていた。結局、BABYMETALファンは本当にナイスで、リスペクトがある人たちだったんだ。Mr. Key、バンド、レーベルと同じでね。本物のファンは彼らと一緒で、とてもリスペクトに満ちた人たちなんだ。あるファンが「Fox Godが君を選んだ」って言ってたんだけど、どうも彼らはFox Godが僕を選んだって信じているようだ。僕もいつか彼らの信じるFox Godにリスペクトを捧げる機会がある事を願ってるよ。
Q. それは覚えているかぎり最大の賛辞でしたか?
うん。そうだね。僕はBABYMETALのNo Rain No Rainbowって曲名が本当に好きなんだ。雨の中で自分が諦めてしまっていたら、その後の支持を全て得ることができなかったし、受け入れられる事もなかった。今回、僕は実際のタイ語を人々に届ける事ができたんだ。海外進出って聞くと、僕らはいつもタイのアーティストが英語で歌う事だけしか考えられないし、今回のようにタイ語じゃない。
もう1つ加えると、横浜のライブ後にきちんとしたお別れができなかったんだ。その夜に彼らはグラストンベリーに飛び立たなきゃならなかったからね。タイに戻ると、彼らはライブを終えていて、誰かが僕にそのライブの映像を送ってきてくれたんだ。僕のラップのヴァースでは誰かがラップをしてるわけじゃなくて、タイ民謡スタイルのリードギターが演奏されてた。ワオ。これこそまさに僕が見たいものだったんだ!彼らがタイ文化の音をクールで誇らしいものにしてくれた。僕のラップに合わせたスケールでリードギターが演奏されてる。この誇りはこれからも続いていく。世界中をまわるツアーで、そのヴァースがどこでも続いていくんだよ。
Q. なぜ彼らがPAPAYAサラダにそこまでの興味を持ったのか考えてみたことはありますか?
Stampと話した日にHip HopプロデューサーのNinoとも話したんだ。彼に「みんなクソミソに言ってくるんだけど、どうしたらいい??なぜ彼らがPAPAYAサラダを曲のテーマに選んだのかもわからない。それになんで俺を選んだんだ???」って聞いたんだ。彼は興味深い答えをくれたよ。俺たちはPAPAYAサラダに慣れすぎていて、特別なものじゃなくなってる。日々の生活に根ざしてるから、微妙な食べ物って風にも思ってる。一方ではるか遠くにいる日本人のような人たちは、それを味わって「これについて曲作ろうぜ!」ってなるんじゃないかってね(笑)。
僕たちにとっては、誰かがPAPAYAサラダについての曲を作りたいって言っても、「それはうまくいかないんじゃないか」ってなるけど、日本人は「俺たちならクールにできるよ」ってなる。僕たちを選んでくれた理由は今ならわかる。僕たちは他の国とは違った風にラップをする。自分たち独自のやり方で。ライムが変だって思ったけど、それでもやってみたし、今までやったこともないようなライミングだったけれどもね。タイ民謡を遥か遠くグラストンベリーまで届けた事は自分にとって誇りだ。しかも日本人の演奏でだぜ!(笑)
Q. 全てが終わった今、そこから学んだこととは?
まず、日本人と仕事をする事は本当に素晴らしいということ。彼らは時間に超正確なんだ。彼らがライブは5:20スタートだって言ったとすると、その時間がくると全てが整えられている。とんでもないよ!(笑)僕たちの国ではありえない。バックステージにいると、何もかもが時間通りに進んでいる。観客にはわからないが、僕からはライブがいつ始まって、いつ終わるのかのスケジュールがわかっているからね。そして終了直後には全てがハケられている。まるで指をパチンと鳴らすようにね。観客全員が帰っている。そんな事がどうやれば実現できるんだ?でもそれは彼らが非常にシステマチックだからなんだ。
2つ目がリスペクト。彼らは僕を5つ星ホテルに宿泊させてくれて、ビジネスクラスで招待してくれたが、大事なのはそこじゃない。僕に最も感銘を与えたのは、マネージャーたち全員が僕のところに来て挨拶をしてくれたんだ。なんて手厚く迎えてくれるんだと驚いた。彼らの立場がどれくらい高いかに関わらず、皆がリスペクトに満ちている。
もう1つ僕が学んだ事は、コメントを読まず、タブをすぐ閉じろ!ってことだな(笑)。
ソース:https://adaybulletin.com/talk-guest-fukking-hero/38019?fbclid=IwAR1Ajn1Z9TXUIYPB14O1GuNy7do5Zxe4H9b37hxIYGy-F0sQzqyJ85t9bUA
英文訳ソース:https://www.reddit.com/r/BABYMETAL/comments/cikcku/the_new_interview_with_fhero/
リードギターがタイ風のメロディなのは初めて知りました。てっきり津軽三味線風なのかと。
返信削除本当によかったね。
返信削除文字どおり、Fighting Hero になったよ。
何時も有り難う御座います!感謝しか有りません!m(_ _)m!
返信削除感動しました!!
コバが選んだコラボ相手をディスるような輩は即刻メイト辞めてほしいね。
返信削除才能があるし謙虚なナイスガイだ
返信削除横アリ2日目参戦しました。「PAPAYA」には、度肝抜かれました。SUMETAL、MOAMETAL・・神バンドの皆さん、そしてメイトの皆さんと盛り上がれる曲だと思います。F.Heroとのコラボ・・また見たいです。
返信削除ベビメタとそのファンだって散々ディスられてきたのに、そのファンがF.HEROをディスったのは残念だったけど彼が謙虚なナイスガイで良かったよ。ブチ切れて降りてればタイからのあれほどのMVへのアクセスもなかったろうしね
返信削除アウエーの海外フェスを必死に戦ってくれた鞘師の事も、同様にDisってる馬鹿がいるしね
返信削除F.Heroさん横浜でのパフォーマンス観ましたよ♪
返信削除めっちゃカッコ良かった♪
11月来て下さいね♪( ̄▽ ̄)b
初めてPAPAYAを聴いた時、またやってくれたな!そんな印象で凄く良かったですね!
返信削除ユイちゃんが抜けてから、個人的にベビーメタルと距離が出来たけど、鞘師さん他、最近また注目です^_^
「You are my pride」
返信削除感動。
そしてこの記事を翻訳してくださり、日本語で読めたこと。
ただただ感謝するしかありません。ありがとうございます。